1970年代に公開されたおすすめ名作映画

年代別の映画紹介ですが、今回は1970年代に公開されたおすすめ映画を紹介していきます。ホラーやドラマ、果てはカルト映画に至るまで、様々なジャンルの作品が、今なお変わらぬ魅力で輝き続けています。

キャリー

いまなお語り継がれる、青春ホラーの名作

『キャリー』は1976年に公開されたブライアン・デ・パルマ監督、シシー・スペイセク主演の映画です。

原作はスティーヴン・キングの同名小説。キングは自身の作品の多くが映画化されていますが、その最初の作品はこの『キャリー』でした。

狂信的で厳格な母親と暮らす高校生、キャリー。いじめられっこのキャリーはある日体育の授業が終わった後に初潮を経験します。しかし、母親からその事についてなにも教えられていなかったキャリーは突然の事に驚きパニックになります。クラスメイトからプロムに誘われ、会場へ向かいます。

2013年にはクロエ・グレース・モレッツ主演でリメイクもされていますが、やはりこのシシー・スペイセクが演じたオリジナル版の何とも言えない哀しさや狂気は越えられていないなと感じます。

今やホラー映画の古典とも呼べる作品になっているのではないでしょうか?

時計じかけのオレンジ

カルト的な人気を誇る、キューブリックの傑作映画

『時計じかけのオレンジ』は1971年に公開されたスタンリー・キューブリック監督、マルコム・マクダウェル主演の映画です。

全体主義国家となった近未来のイギリスを舞台に無軌道な暴力に明け暮れる少年たちを描いた作品。

ロンドンに住む15歳の少年、アレックスは仲間達と日々暴力と犯罪行為に明け暮れていました。ホームレスを暴行し、また作家の家に押し入っては彼の妻を暴行しました。

ある日、強盗に出掛けたアレックスとその仲間たちは金持ちの老婦人を撲殺。しかし、仲間から裏切られ、アレックスだけが警察に逮捕されてしまいます。

暴力で暴力を風刺するというストーリーはもちろんのこと、その斬新な世界観は今なお新しいファンを獲得しつづけています。

いわゆる「カルト映画」とも呼べる作品でもあるのですが、マニアックでもあり、メジャーでもあり、また古いけれど新しいなど、相反する魅力を多く備えた唯一無二の作品だと思います。

ジョーズ

スピルバーグの名を世界に広めた、パニック映画の金字塔

『ジョーズ』は1975年に公開された スティーヴン・スピルバーグ監督、ロイ・シャイダー主演の映画です。

スピルバーグの名を一躍世界に広めたパニック映画の名作です。

海水浴で賑わうビーチに現れた巨大なホオジロザメ。観光客目当てにビーチの閉鎖を渋る市長のためにサメの被害者はどんどん増えていくことに。

当時の映画の興行収入記録を塗り替えた伝説的なパニック映画です。

本来、「ジョーズ」とは顎を指す英語ですが、この作品のヒットにより人食いザメの代名詞となりました。

今なお、多くのフォロワーを生み、数え切れないほどの映画に影響を与え続けている傑作です。

ルパン三世 カリオストロの城

宮崎駿が贈る、『ルパン三世』映画史上屈指の名作

『ルパン三世 カリオストロの城』は1979年に公開された宮崎駿監督、山田康夫主演のアニメ映画です。原作はモンキー・パンチ。

『ルパン三世』シリーズの枠を越えて日本映画史に残る名作になったのではないでしょうか?

宮崎駿監督のフィルターを通して描かれたルパンは全体として大人の魅力に溢れ、切なくも満足できる後味を残してくれます。

エクソシスト

未だに恐怖が薄れない、悪魔憑きホラーの代表作

『エクソシスト』は1973年に公開されたウィリアム・フリードキン監督、リンダ・ブレア主演のホラー映画です。

オカルトホラーという枠組みに留まらず、ホラー映画そのものの中でも名作ではないでしょうか。

もはや説明不要なほどの有名なホラー映画でもあります。

年にディレクターズ・カットが公開された時にはリーガンのスパイダー・ウォークが話題になりました。

タイトルの通り、悪魔つきをテーマにしていますが、作品の序盤でリーガンがまずは病院で診てもらうなどの段階を踏んでいるので、その分作品にある意味でのリアリティもあるように感じます。

ちなみに余談ですが、緊張感を高めるために監督のウィリアム・フリードキンは撮影現場にショットガンを持参していたのだそう。

その後に公開された『エクソシスト2』は賛否分かれる結果になりましたが、2023年に新たな『エクソシスト』の続編として『信じるもの』が公開されました。

アニー・ホール

巨匠ウディ・アレンの地位を確立させた、名作恋愛映画

『アニー・ホール』は1977年に公開されたウディ・アレン監督、ウディ・アレン主演のロマンティック・コメディ映画です。

コメディのイメージの強かったウディ・アレンがロマンティックな恋愛映画に挑んだ本作。ヒロインのアニー・ホールを演じたのはダイアン天空キートンでした。
自伝的な要素も含んだこの作品は、ダイアン・キートンのファッションも含めて今なお強い人気を集めています。
あえて時系列をバラバラにした上で二人の出会いから別れまでを断片的に見せていく構成は『500日のサマー』にも影響を与えたと思います。

ウディ・アレンが演じたアルヴィー・シンガーはアイロニックで神経質な男。
そんな彼はアニーと別れた後、彼女との日々を振り返ってこういいます。

「精神科医に男が、『弟は自分が雌鶏だと思いこんでいます』
医師は、『入院させなさい』といいました。男は、『でも、卵は欲しいのでね』
男と女の関係も、この話と似ています。およそ非理性的で、不合理なことばかり。それでも付き合うのは、卵が欲しいから」

アニーと別れたアルヴィーが作り上げた演劇はかつての二人の日々をモチーフにしたものでした。
その結末は現実での叶わないアニーへの思いを映したかのような幸せなラスト。

『アニー・ホール』はこの年のアカデミー賞を筆頭に名だたる映画祭で数多くの賞を受賞しています。

ウディ・アレンらしさはそのままに、詩的な美しさと斬新さも加わった本作。

色褪せない魅力のあるおすすめの映画です。

ロッキー・ホラー・ショー

いまなお色褪せない、カルト映画の代名詞

『ロッキー・ホラー・ショー』は1975年に公開された ジム・シャーマン監督、ティム・カリー主演のSF映画です。

同名のミュージカルを映画化した今作はスタジオの意見よりも、例え低予算でも自分達のやりたいことを貫いたことで、逆に古くささを感じさせず、今なお新しいファンを獲得し続ける作品になったのではないかと思います。

映画史上初のカルト映画といわれる本作ですが、確かにこの魅力は唯一無二。

まだ若かりしスーザン・サランドンやミートローフなども出演しています。

タクシードライバー

スコセッシとデ・ニーロのタッグ!いまなお語り継がれる衝撃作

『タクシードライバー』は1976年に公開されたマーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演の映画です。

ベトナム帰還兵のトラヴィスはタクシー運転手として働き出しますが、不眠症を抱えたまま、タクシーで徘徊するトラヴィスの目に映るのは享楽的で退廃したアメリカの姿でした。トラヴィスはそんな時に13歳のアイリスと出会います。

トラヴィスの孤独な生き方を通して、アメリカの闇を見せていく、アメリカン・ニューシネマの時代の最後の名作です。

悪魔のいけにえ

数多くのフォロワーを生み出した、伝説的なホラー映画

『悪魔のいけにえ』は1973年に公開されたトビー・フーパー監督、マリリン・バーンズ主演のホラー映画です。

今作に登場するシリアルキラーは通称レザーフェイスと呼ばれるババ・ソーヤーとその家族たちです。

テキサスを訪れた若者5人に襲いかかる恐怖を描いています。

舞台は1972年のテキサス。墓荒らしが頻出しているというニュースをきいて、サリー・ホーキンスとその兄は友人らとともにテキサスの祖父の墓の無事を確かめに来ていました。

墓は無事でしたが、車のガソリンが尽きてしまい、ガソリンを分けてもらおうと古びた洋館に立ち寄ったことから恐怖が始まります。

洋館の主は訪れた若者を殺し、食していたソーヤー一家の棲み家でした。

人の皮を被った殺人鬼、レザーフェイスに一人また一人とチェーンソーで惨殺されていきます。

70年代のホラー映画の中ではダントツで怖い作品だと思います。

モンスターや幽霊ではなく、あくまで人間による殺人であったり、後のホラー映画に見られるような奔放で身勝手な者から殺されていくというお約束のような展開もなく、ただ無慈悲に殺されていくという不条理も怖さを増幅させています。

圧倒的な残虐描写の一方で、本作はその芸術性も高く評価されており、ニューヨーク芸術美術館にフィルムが永久登録されてもいます。

太陽を盗んだ男

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一介の教師が原爆を作成!日本が世界に誇る爆裂カルト映画

『太陽を盗んだ男』は1978年に公開された長谷川監督、沢田研二主演の映画です。

一介の理科教師が原爆を作り、日本政府を脅迫するという強烈なストーリー。

また映画の内容に負けず劣らず、皇居前での無許可ロケや高速道路での撮影など製作秘話も凄まじく、スタッフの中には「逮捕要員」もいたほど。

はこの映画を最後に今日までメガホンを握っていませんが、日本映画史に残るカルト映画として高い評価を得ています。

ディア・ハンター

ベトナム戦争を初めて否定的に描いた戦争映画の傑作

『ディア・ハンター』は1978年に公開されたマイク・チミノ監督、ロバート・デ・ニーロ主演の映画です。

ベトナム戦争を舞台に戦争の狂気を描いた作品です。

ピッツバーグの炭鉱で働くマイケル、スティーブ、ニックの3人は鹿狩りを趣味にする仲間同士でしたが、そんな彼らにもベトナム戦争の影が忍び寄り、戦地へ向かうことになります。

予想以上にベトナム戦争でアメリカは苦戦しており、マイケルらはベトナム兵の捕虜となります。

彼らはベトナム兵の娯楽の一環としてロシアン・ルーレットを強要されますが…。

『ディア・ハンター』は初めてベトナム戦争を否定的に描いた映画だと言われています。

原作は元々ベトナム戦争とは関係のない話でしたが、映画版では舞台をベトナムに変更されています。

そのおかげで戦争がいかに人の心身を蝕んでいくのかが、これほどまでに伝わる映画になっています。

ロッキー

アメリカン・ニューシネマを終わらせた、スポーツ映画の名作

『ロッキー』は1976年ってに公開された ジョン・G・アヴィルドセン監督、シルヴェスター・スタローン主演の映画です。

貧しく売れない俳優だった若き日のシルヴェスター・スタローンが、の試合をテレビ観戦したことがきっかけで、わずか3日で書き上げた脚本が『ロッキー』でした。

当時の暗いアメリカン・ニューシネマとは対称的な前向きなメッセージを全面に打ち出したこの作品は熱狂的に支持され、一夜にしてロッキー同様、シルヴェスター・スタローンもアメリカン・ドリームを掴みます。

『ロッキー』は2006年までに合わせて6本のシリーズが製作され、年からはロッキーのライバルであるアポロ・クリードの子供を主人公にした『クリード』シリーズが製作されています。

エイリアン

『エイリアン』シリーズの原点!SFホラーの古典とも言える傑作

『エイリアン』は1979年に公開されたリドリー・スコット、シガーニー・ウィーバー主演のSFホラー映画です。

宇宙貨物船、ノストロモ号は仕事を終え、地球に帰還する途中、知的生命体のものと思われる信号を受信しました。

リドリー・スコット、シガーニー・ウィーバーともにこの『エイリアン』でブレイク。

H・R・ギーガーの造形によるエイリアンの斬新かつグロテスク、しかし美しさも備えたデザインはキャラクターデザインにおける一つの革命とも呼べるのではないでしょうか?

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。