2000年代に公開されたおすすめ映画
ダークナイト
バットマン以上に伝説となったジョーカーは必見!
『ダークナイト』は2008年に公開されたクリストファー・ノーラン監督、クリスチャン・ベール主演のスーパーヒーロー映画。
2005年の『バットマン ビギンズ 』から始まる『バットマン』三部作の二作目にあたります。
スーパーヒーロー映画の枠を遥かに超えて世界に衝撃と大きな影響を与えた作品です。
なんと言ってもヒース・レジャー演じるジョーカーのキャラクターがこの映画の最大の魅力でもあるでしょう。
ジョーカーを翻弄し、善と悪がコインの表裏のように切っても切り離せない関係にある事実をバットマンに突きつけ、バットマンの正義をこれでもかと揺さぶります。
その姿は理想主義的であった当時のアメリカイズムが大きな転換期を迎えていたことと重なります。
民主主義を世界に広めていたアメリカですが、イラク戦争ではその大義が大きく揺らぎ、アメリカの正義は根底から覆ろうとしていました。
『ダークナイト』が映し出しているのはそんなリアルなアメリカの姿ではなかったでしょうか。
グラン・トリノ
頑固な老人の心を解きほぐした少年との絆。クリント・イーストウッドの感動作
『グラン・トリノ』は2008年に公開された、クリント・イーストウッド監督・主演のドラマ映画です。
ポーランドからの移民であるウォルター・コワルフスキーは朝鮮戦争の帰還兵であり、またフォードの熟練工として働いていた経歴を持ちますが、現在は家族とも疎遠であり、フォードで働いて得た家と「グラン・トリノ」と呼ばれるフォード製の車を大切にしていました。
そんなコワルスキーですが、あることがきっかけで近所に住むモン族の少年タオの世話をすることになります。
タオとの交流で、徐々に頑なな心を溶かしていくコワルスキーでしたが、タオは
アメリカン・サイコ
アメリカ社会への風刺を隠した秀逸なサイコ・ホラー
『アメリカン・サイコ』は2000年に公開されたメアリー・ハロン監督、クリスチャン・ベール主演のサスペンス映画。場合によってはホラー映画の棚に並んでいることもあるのですが、まぁ実際はサイコサスペンスでしょう。
若くして成功を収めたエリートビジネスマンのパトリック・ベイトマン。しかし、そのライフスタイルは贅沢かつ空虚なものでした。同僚とは表向きの付き合いしかせず、会話の中身は共通の髪型や名刺の出来栄え、スーツやどこのレストランに通っているかなどでお互いの優劣を計るだけのもの。
しかし、そんなベイトマンの前に何もかも完璧な男、ポール・アレンが現れます。
ベイトマンには夜毎に殺人を犯すという裏の顔がありました。
アレンの存在に危機感を抱いたベイトマンはアレンをも殺害します。しかし、その日からベイトマンは現実とも妄想ともつかない日々に迷い込んでいきます。
最初はホラー映画に近いサスペンスかと思っていましたが、むしろ一人の男を主人公にした寓話のような意味合いが強い作品です。『アメリカン・サイコ』に込められているのは、資本主義が極大化したアメリカ自身への風刺なのです。
物語の舞台は1980年代ですが、今の時代にも十分通じる映画だと思います。
ロッキー・ザ・ファイナル
奇跡の復活を遂げた『ロッキー』シリーズの最終作
『ロッキー・ザ・ファイナル』は2006年に公開されたシルヴェスター・スタローン監督、脚本、主演のドラマ映画です。
困難に立ち向かう勇気、目の前のことに一步踏み出す力、もし日々を前向きに生きたいと願うならば、『ロッキー・ザ・ファイナル』は是非とも観てほしい映画です。
『ロッキー』シリーズは長らく『ロッキー5』で終わったと思われていましたが、シルヴェスター・スタローンは『ロッキー5』には不満が残っていたと明かしています。
当初はすでに終わったシリーズの悪あがきと醒めた目で見られていた本作ですが、いざ公開されると『今世紀最高のサプライズ』とまで呼ばれるほどの高い評価を得ました。
愛する妻のエイドリアンを亡くし、過去の思い出を懐かしむばかりのロッキー。
しかし、老境に入ったロッキーは、まだ自分の中にボクシングへの情熱が残っていることに気づきます。
『ロッキー・ザ・ファイナル』のキャッチコピーは「Never Give Up 自分をあきらめない」。その言葉通りの熱いドラマが展開する、『ロッキー』シリーズの中でも1、2を争う名作だと思います。
ベンジャミン・バトン
ベンジャミンを通して語られる「人生の価値」
『ベンジャミン・バトン』は2008年に公開されたデヴィッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演のドラマ映画。老人の姿で生まれ、成長とともに若返っていく数奇な運命を辿るベンジャミン・バトンと、彼の周囲の人々を通して、人生とは何かを問いかける名作です。
どんな人生にも価値がある。私はちょうど将来に悩んでいた時期にこの映画を観ました。人とは違う人生を歩むベンジャミンですが、常に人生に誇りを持って生きる姿には強い憧れと人生の真実のひとひらを教えてもらったような気がします。
特にベンジャミンが旅先から娘のキャロラインに宛てた手紙の内容がとても大好きです。デヴィッド・フィンチャー監督作の中では異色な作品かもしれませんが、いつまでも色褪せない名作として、おすすめの映画です。
転々
男二人の東京散歩。笑って泣ける脱力系コメディのおすすめ映画
『転々』は2007年に公開された三木聡監督、オダギリジョー、三浦友和主演のコメディ映画です。借金取りの福原は誤って妻を殺してしまい、警視庁に自首するまでに妻との思い出の地を巡ります。
散歩に付き合うことになったのは、100万もの借金を抱えた大学生、文哉。福原は文哉に借金をチャラにする代わりに散歩に付き合えと命じ、二人は東京の街を散歩します。
その中で福原と文哉には不思議な絆が生まれていきます。
三木聡監督らしい、シュールな笑いや小ネタの数々は今作でも健在ですが、観終わった後にほっと穏やかな気持ちになれるのは本作の特長だと思います。
エンディングテーマの選曲も心に沁みますね。
(500)日のサマー
ビター&スウィートな恋愛映画のおすすめ作
『(500)日のサマー』は2009年に公開されたマーク・ウェブ監督、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ズーイー・デシャネル主演の恋愛映画です。
物語の時系列をあえてバラバラにした斬新な構成はウディ・アレンの『アニー・ホール』へのオマージュではないでしょうか。
恋を信じる青年トムと恋を信じないサマーとの500日の恋愛模様。
可笑しくも切なく、誰もが共感できる作品ではないでしょうか。個人的にも大好きなおすすめのラブコメ映画です。
マッチ・ポイント
ウディ・アレンが撮るサスペンス!ウディ作品の中でも高い評価の一本
『マッチ・ポイント』は2005年に公開されたウディ・アレン監督、スカーレット・ヨハンソン主演のサスペンス映画。
テニス選手のキャリアをあきらめたクラスは上流階級のトムと知り合い、ビジネスでの成功を夢見るようになります。クラスはトムの妹のクロエと婚約しますが、一方でトムのフィアンセでもあるノラに強く惹かれていきます。
コメディ映画が多いウディ・アレンの監督作の中では珍しい、シリアスなサスペンス作品となっています。
しかしながら、本作は数あるウディ・アレンの作品の中でも非常に高い評価を受けた一本です。
ショーン・オブ・ザ・デッド
コメディ・ホラーの傑作!笑えるゾンビ映画のおすすめ作
『ショーン・オブ・ザ・デッド』は2004年に公開されたエドガー・ライト監督、サイモン・ペグ主演のホラーコメディ映画。エドガー・ライトは本作が長編映画監督デビューとなります。
家電量販店で働く青年、ショーンはその無気力さから恋人のリズに振られてしまいます。落ち込むショーンでしたが、翌日、街中がゾンビで溢れていることに気づきます。幼馴染のエドと共に、リズや友人も連れて、ショーンは馴染みのパブを目指してゾンビだらけの街中を移動しようとします。
ゾンビ映画の金字塔である、ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』をオマージュした内容で、ただのコメディではなく、しっかりと「ゾンビ映画」に対するリスペクトが感じられる作品です。
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲
大人も泣ける『クレヨンしんちゃん』映画の大傑作
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』は2001年に公開された原一恵監督のアニメ映画。声の出演は矢島晶子らが務めています。
本作はまさに21世紀になったばかりの当時の人々を描いた作品です。
私は当時中学生だったので、そもそも21世紀に対してそこまで理想もなかったのですが、親世代より上は、21世紀と言えば当たり前のように車が空を飛んで、皆が豊かに楽しく暮らしている未来を予想していた時代を生きていたと思います。
しかし、現実は空を車が飛ぶことはなく、それどころかバブルが弾けて日本経済は長期の低迷と長引く不況によって国民にとっては厳しい時代となりました。
そうしてみると、やはり過去のノスタルジーに逃避したくなる大人たちの気持ちもわからないではないです(というか大人になって歳を重ねれば重ねるほど、ひろしやみさえの気持ちがよく理解できます)。
そんな中では無邪気に未来へ踏み出そうとするしんのすけの姿と、これまでの人生を振り返って改めて今を生きようとするひろしたち大人の姿には胸が熱くなります。
数多い劇場版『クレヨンしんちゃん』の中でも屈指の感動作。いい意味で『クレヨンしんちゃん』のイメージを覆す作品になったのではないでしょうか。絶対に観て損はない、おすすめの映画です。
パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
ジョニー・デップを世界的ブレイクに導いたエンターテインメント大作
『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』は2003年に公開されたジョニー・デップ主演のアクション映画。ディズニーランドのアトラクション、『カリブの海賊』をモチーフにした作品です。
それまで海賊映画は『カットスロート・アイランド』の大失敗もあり、ヒットしないジャンルとされていました。
また、ジョニー・デップもこのような大規模や予算を費やした超大作に出るような俳優ではなかったのですが、演じたジャック・スパロウの役作りの魅力もあって、映画は大ヒットします。
ジョニー・デップによれば、この役を引き受けたのは(当時まだ幼かった)子供達が喜んでくれると考えたからで、またジャック・スパロウの役作りにはキース・リチャーズなどのロックスターを参考にしたと言います。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズは一大人気作となり、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』まで計5本の作品が作られています。
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦
野原一家が戦国時代にタイムスリップ!『クレヨンしんちゃん』映画屈指の人気作
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』は2002年に公開された原恵一監督のアニメ映画です。声の出演は矢島晶子らが務めています。
前作の『オトナ帝国』に引き続き、歴代の『クレヨンしんちゃん』映画の中でも評価の高い作品です。
今回は野原一家が戦国時代へタイムスリップ。春日城の城主の娘である春日廉や廉に思いを寄せる侍、井尻又兵衛由俊と出会い、絆を深めていきます。
前術のとおり、劇場版『クレヨンしんちゃん』の中でも特に人気の高い作品です。
2009年には本作を原案とした実写映画 『BALLAD 名もなき恋のうた』が公開されています。
時をかける少女
いつまでも色褪せない青春アニメのおすすめ映画
『時をかける少女』は2006年に公開された細田守監督のアニメ映画。声の出演は仲里依紗らが努めています。
筒井康隆の『時をかける少女』を原作とした映画ですが、物語の舞台は原作の世界から20年後という設定になっています。
『サマーウォーズ』などのヒット作も多い細田守監督ですが、個人的にはこの『時をかける少女』が一番好きな作品です。
武士の一分
木村拓哉の演技が光る、時代劇のおすすめ作
『武士の一分』は2006年に公開された山田洋次監督、木村拓哉主演の時代劇です。
三村新之丞は優れた剣腕を持ちながらも、その仕事はの毒味役でした。
あるとき、新之丞はツブ貝の毒に当たって失明してしまいます。
目が見えなくなり、仕事もできなくなった新之丞は家禄を取り上げられるの危機に陥りますが、上士の島田が新之丞の妻、加代の体と引き換えに家禄を維持する事ができるようになります。
しかし、その事実を知った新之丞は激怒、加代を離縁します。
しかし、その後、島田が三村家の家禄の維持に全く関わっていないことが明らかになると、新之丞は加代を離縁したことを悔い、そして島田へ決闘を申し込みます。
「キムタクは何を演じても演技が同じ」とはよく言われますが、『武士の一分』での影のある繊細な演技は、そんな批判をする人にこそ是非観てほしいと思います。2006年に公開された『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』もそうですが、影や弱さのあるキャラクターだと木村拓哉の演技のうまさが引き立つと感じます。