ジェノサイドをテーマにしたおすすめドラマ映画

今回はジェノサイド(虐殺)をテーマにした映画を紹介します。

有名なのは第二次世界大戦下のナチス・ドイツによるユダヤ人の迫害による虐殺だと思いますが、今なおイスラエルやパレスチナなど、虐殺は現在進行形で世界で行われています。

シンドラーのリスト

ユダヤ人1200人をホロコーストから救い出した男の感動の実話

『シンドラーのリスト』は1993年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督、リーアム・ニーソン主演のドラマ映画です。

第二次世界大戦のポーランドで1200人のユダヤ人をナチスから救いだした実業家オスカー・シンドラーを描いた作品。

原作はトーマス・キニーリーの小説『シンドラーの箱舟』であり、この本と本作をきっかけに再びシンドラーに注目が集まることとなりました。

オスカー・シンドラーは自らが経営する工場に多数のユダヤ人を安い労働力として雇い入れました。シンドラー自身もナチス・ドイツの党員であり、当初は戦争を利用して一儲けしようという志しかなかったのです。

しかし、ナチス・ドイツによってユダヤ人への虐殺が激しくなるのを見るにつれ、シンドラーの心境に変化が訪れます。

残忍なサディストとして知られるアーモン・ゲートが新しく収容所の所長になった時には、シンドラーはアーモンに賄賂を払い、収容所内に工場を設置、そこにユダヤ人を多く雇い入れ、ナチスの親衛隊は工場に足を踏み見れることさえ禁止しました。

そのようにして多くのお金を使い、ユダヤ人1200人を虐殺から救ったオスカー・シンドラー。

今作で監督を務めたスティーヴン・スピルバーグはエンターテインメント作だけではなく、社会的でシリアスな作品でも卓越した映画を撮れることを証明して見せました。

なお、「血に染まったお金はもらえない」ということでスピルバーグは『シンドラーのリスト』の監督料は辞退しています。

ライフ・イズ・ビューティフル

『ライフ・イズ・ビューティフル』は1997年に公開されたロベルト・ベニーニ監督・主演のドラマ映画です。

もともとコメディアンであるロベルト・ベニーニらしく、前半はベニーニ演じるが友人と共にイタリアにわたり、小学校の教師であるとの仲を成就させようとする奮闘ぶりがコメディ・タッチで描かれます。

前半はそうやって家族を得て幸せを掴んだグイドが描かれていますが、後半は一転してナチス・ドイツの手によって強制収容所に連れてこられたグイド親子の苦難を描いています。

「どんな状況であっても生きることは素晴らしい」

それがロベルト・ベニーニが本作に込めたメッセージでした。

厳しい強制収容所の暮らしも息子のジョズエに「これはゲームなんだ」と言い聞かせることで、楽しいものに様変わり。

どこまでも深く家族を愛したグイド。

もともとタイトルの「ライフ・イズ・ビューティフル」とはタイトルはロシアの革命家であるトロツキーが、スターリンからの暗殺者に怯える中でも「人生は美しい」という言葉を残したことに起因しています。

ロベルト・ベニーニは「どんな状況下でも人生は生きるに値するほど美しい」という信念に感銘を受け、物語を着想しました。

ホテル・ルワンダ

created by Rinker
ジェネオン ユニバーサル エンターテ

『ホテル・ルワンダ』は2004年に公開されたテリー・ジョージ監督、ドン・チードル主演のドラマ映画です。1994年に起きたルワンダ大虐殺をテーマにしています。

このルワンダ虐殺ではツチ族とフツ族が殺し合うという事態が起き、その犠牲者は20万人を超えると言われています。

そんななか、ホテルの支配人であったポールに・ルセサバギナは虐殺から逃れてきた人々をホテルに匿います。

ポール・ルセサバギナはその功績から「ルワンダのシンドラー」とも呼ばれています。

興味深いのはこの出来事に対する国際社会の無関心さ。

事件の最中、現場に居合わせたジャーナリストがこう言います。

「世界はと言いながら朝食をたべるだけ」

これこそが国際社会の無関心さを象徴しているセリフではないでしょうか。

事実、アメリカは1991年のソマリアへの人道的介入が失敗に終わったことで他国への軍事介入に消極的になっていました(このモガディシュの戦いと呼ばれる事件を映画化したのが2002年に公開された『ブラックホーク・ダウン』です)。

そして、他ならぬ私たちもまたアフリカにあまり関心はないのではないでしょうか。

もしこのような虐殺がアメリカやイギリス、ドイツなどで起きたら、比べ物もならないくらい大きく報道されるのではないでしょうか。

ルワンダ虐殺の犠牲者は万人と言われています。

グッド・ライ~いちばん優しい嘘

『グッド・ライ~いちばん優しい嘘』2014年に公開されたフィリップ・ファラルドー監督、アーノルド・オーチェン主演のドラマ映画です。

1983年に勃発した第二次スーダン内戦によって難民となった少年(ロストボーイズ)をテーマにした作品です。

出演したロストボーイズ役のキャストらはみな実際にロストボーイズとして、難民生活を送っていました。

内線で家族と故郷を失った兄弟たちはスーダンから安全なケニアへ向かうまで、1000キロという過酷な旅を続けていました。途中で兵士に見つかり、殺されるかという時、長兄のテオが身代わりとなって連れ去られます。

なんとかケニアにたどり着いたのは4名の兄妹たちのみ。

そして2000年、難民である彼らはスーダンとアメリカのプロジェクトによって、アメリカで暮らす権利を手に入れます。

物語自体は序盤こそ恐ろしいものですが、アフリカから初めてアメリカへ来た彼らが、その社会の中で感じる戸惑いや成長をコミカルに描いていきます。

そこには、「なぜ食べられるものを捨てるのか?」など、現代の消費社会に対する批判的な視線も盛り込まれています。

ポスターでは、彼らロストボーイズの世話係を務めるキャリー(リース・ウィザースプーン)がメインのような構図になっていますが、メインキャストはもちろんロストボーイズの彼らたち。

日本ではあまり知られることのない内戦の恐ろしさや残酷さとともに、最期にはタイトルにもある「優しい」

ハンナ・アーレント

『ハンナ・アーレント』は2012年に公開された、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督、バルバラ・スコヴァ主演の伝記ドラマ映画です。
20世紀においてハンナ・アーレントは最も有名な哲学者の一人といえるでしょう。

関心領域

音だけでホロコーストの恐ろしさを伝える、トップクラスに怖い衝撃作

関心領域』は2024年に公開されたジョナサン・グレイザー監督、クリスティアン・フリーデル主演のドラマ映画。

アウシュヴィッツ強制収容所の真横で暮らす、所長のルドルフ・ヘスとその一家。ある時、ヘスはアウシュヴィッツからの転勤が決まるが、妻は今の暮らしを手放したくないと反発する。

>CINEMA OVERDRIVE

CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。