フロスト×ニクソン
ニクソンに罪を認めさせた実話の映画化!テレビ司会者と元大統領の言葉のボクシング!
『フロスト×ニクソン』は2008年に公開されたロン・ハワード監督、マイケル・シーン主演のドラマ映画です。
原作は今作の脚本を担当したピーター・モーガンが手掛けた同名の舞台。
今作は1977年に放送されたイギリスの司会者デヴィッド・フロストと、元アメリカ合衆国大統領のリチャード・ニクソンのインタビューを取り上げた、実話に基づく映画です。
舞台が上演されたときから多くの実写化を希望する声があったといい、ロン・ハワードが映画化権を手にします。
映画でデヴィッド・フロストを演じたマイケル・シーンとリチャード・ニクソンを演じたフランク・ランジェラは共に舞台版からの続投組。
ウォーターゲート事件の自身の関与を認めず、国民から強く謝罪を求められていたリチャード・ニクソンにはこのインタビューで自身の過ちを認め、その姿はもの人々が観ていたといいます。
大統領の執事の涙
歴代大統領の姿をそばで見てきた黒人執事の物語
『大統領の執事の涙』は2018年に公開されたリー・ダニエルズ監督、フォレスト・ウィテカー主演のドラマ映画です。
数多くの歴代の大統領に仕えた黒人の執事、ユージン・アレンをモデルにした物語です。
監督のリー・ダニエルズは本作を「『フォレスト・ガンプ』に対する批判のつもりで撮った」と述べています。
『フォレスト・ガンプ』は名作ですが、アメリカの歴史をフォレストとともに追った内容にも関わらず、そこには必ず描かれるべき公民権運動がほとんど描かれていないという批判もあります。
『大統領の執事の涙』では『フォレスト・ガンプ』同様にアメリカの戦後史を追っていくのですが、その中心となるのは公民権運動なのです。
そのなかで主人公のセシルの考えと、より進歩的な彼の息子の考えなど、公民権運動にもさまざまなものがあることがわかります。
まさに『フォレスト・ガンプ』が描かなかった戦後史を描いた本作。おすすめの映画です。
リンカーン
人種差別をなくすためのリンカーンの本当の戦いとは?
『リンカーン』は2012年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督、ダニエル・デイ・ルイス主演のドラマ映画です。
奴隷解放宣言や、ゲティスバーグでのエイブラハム・リンカーンの演説など、リンカーンの有名なエピソードはほとんど描かれず、奴隷制を廃止し、名実共に平等を目指すための憲法改正に奔走するリンカーンの姿が描かれます。
スピルバーグは『アミスタッド』でも奴隷による反乱事件より、裁判の方を中心に描いています。本当に世界を変える実効力を持つのは、宣言や暴力ではなく、法律であることが真実でもあるからでしょう。
偉人として半ば聖人のようなイメージさえ抱かれることの多いリンカーンですが、本作では裏工作や取引を行い、反対勢力を取り込もうとするリンカーンの姿が描かれます。それは「正直者エイプ」とあだ名されたリンカーンとは遠い姿ですが、それほどまでに憲法改正はなんとでもして果たしたい願いだったのでしょう。
いままでのリンカーンのイメージに新しい風を吹き込んでくれる本作もまた、おすすめの作品です。
ブッシュ
歴代最低の大統領か?父を超えたかった野心家か?オリバー・ストーンが描く「ブッシュ」の姿
『ブッシュ』は2009年に公開されたオリバー・ストーン監督、ジョシュ・ブローリン主演の政治コメディ映画です。
43代アメリカ合衆国大統領のジョージ・W・ブッシュを主人公に、彼とその父親であるとの親子関係を軸にブッシュが大学生の頃から政治家として成り上がるイラク戦争へどう関わってきたかが、交互に描かれます。
政治的な映画もたくさん撮ってきたオリバー・ストーンですがら本作ではブッシュへの批判的な目線はありつつも、ブッシュが父親に認められたいという思いで大統領にまで上り詰めたことが明かされます。
かなりオリバー・ストーンの主観的な政治観の入った作品ではあるものの、「歴代最低の大統領」と言われたブッシュを再考するにはおすすめの映画です。