現代の魔女狩り!赤狩りをテーマにしたおすすめ映画

今回は赤狩りをテーマにしたおすすめの映画を紹介していくのですが、その前にまず「赤狩り」とは何か?ということを説明します。

「赤狩り」とは1950年代を中心に共産主義者やその同調者が告発する運動のことです。告発された者は解雇され、社会的に追放されました。

その裏にはソ連との冷戦構造の激化がありました。

また、告発の理由というのが、過去に共産主義の集会に顔を見せたことや、共産主義に寛容な発言をしたなどの行為まで含まれることから、赤狩りは「現代の魔女裁判」とまで呼ばれるようになりました。

なお、日本でもGHQの命令によって赤狩りは行われました。

赤狩りは1954年に赤狩りを中心になって先導してきたジョゼフ・マッカーシーへの非難決議が可決されたことで終息へ向かいました。

グッドナイト&グッドラック

「赤狩り」を終わらせた名キャスターの戦いの実話

『グッドナイト&グッドラック』は2005年に公開された ジョージ・クルーニー監督、デヴィッド・ストラザーン主演のドラマ映画。

人気テレビ番組、『See it Now』のキャスターであるエドワード・R・マーロウと、赤狩りの中心人物だったジョゼフ・マッカーシーとの攻防を描き、赤狩りの終焉のきっかけとなった出来事を描いています。

ジョージ・クルーニーが俳優としてだけではなく、映画監督としても卓越した手腕を持っていることが証明された作品ではないかと思います。ジョージ・クルーニーは今作を、イラク戦争開戦時に、政権の追従ばかりで、少しも政権を批判しない当時のメディアに反省を促すつもりで撮ったといいます。

エドワード・R・マーロウが最後に述べる「テレビをただの娯楽用の箱だけにしてはいけない」というのは今の時代にも通じる言葉ではないかと思います。

現代でも権力者に対する忖度がメディアにおいても過大に行われていることは周知の事実です。

今、それが少しずつ崩れようとしていますが、メディアが自らの倫理観を放棄してしまえば、多くの真実は公になることはないでしょう。しかし、本当にそれでいいのか、『グッドナイト&グッドラック』をきっかけに考えてみるのもいいかもしれません。

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

ハリウッドを追放された一流脚本家の不屈の半生

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』は2015年に公開されたジェイ・ローチ監督、ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン主演の伝記映画です。

脚本家として天才的な能力を持ちながらも、一方で共産主義者でもあったダルトン・トランボ。

彼は戦後、赤狩りによってハリウッドを追放された著名な人物の一人でした。いわゆるハリウッド・テンと呼ばれた人物の一人です。

今作はトランボがハリウッドを追放されてから、名誉回復を果たすまでの物語になります。

ダルトン・トランボの名前に耳覚えのない人がほとんどだと思いますが、映画『ローマの休日』は多くの人が知っていると思います。言わずとしれたオードリー・ヘプバーンとグレゴリー・ペックの名作ですが、その脚本を手掛けたのはダルトン・トランボなのです。

トランボがどれだけ素晴らしい脚本家なのか、この事実だけでも伝わるかと思います。

しかし、赤狩りによってハリウッドを追放されていたトランボは表立って名前をクレジットすることができません。そこで当時はトランボの友人であるイアン・マクラレン・ハンターが「名義貸し」を行い、脚本家としてクレジットされていました。

この『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』からは赤狩りの熾烈さと、それ以上にそれに屈しないトランボの姿が印象的です。

脚本家としての圧倒的な才能。その才能と不屈の魂が再びトランボをハリウッドのトップへ再起させます。

赤狩りとは何かを知る上でもおすすめの作品です。

>CINEMA OVERDRIVE

CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。