実際のスキャンダルをテーマにしたおすすめ映画

今回は実際のスキャンダルを元にしたおすすめの映画を紹介します。

日々ニュースでは様々なスキャンダルがあります。浮気や不倫、政治とカネ、メディアの誤報などなど。

有名なスキャンダルからそうでないものまで、本当にこんな事件があったのかと思うようなおすすめの映画を集めてみました。

フロントランナー

大統領に問われる資質とは?今の時代だからこそ観ておきたい政治ドラマ映画

『フロント・ランナー』は2019年に公開された政治ドラマ映画。主演はヒュー・ジャックマンが務めています。

198年の大統領選挙。候補者のうち最有力候補(フロントランナー)と言われていたのがゲイリー・ハートでした。

ゲイリーハートはその若さと先見性で若者からの人気も高い人物でしたが、あるひとつのスキャンダルが原因でわずか三週間で選挙戦からの撤退余儀なくされます。

そのスキャンダルとは女性との不倫でした。しかし今までにケネディ大統領をはじめとして不倫していた大統領は多くいました。なぜハートは許されないのか?プライベートのことで大統領としての素質が判断されるのは妥当なのか、そもそもメディアはプライベートにどこまで踏み込んでいいのか、考えさせられる一本となっています。

ブラック・スキャンダル

兄はギャング、弟は政治家、FBIまで巻き込んだ恐るべき癒着の実態を描いた実話

『ブラック・スキャンダル』は2015年に公開されたスコット・クーパー監督、ジョニー・デップ主演の伝記映画です。

ウィンターヒル・ギャングのボスであるホワイティ・バルジャー。彼は上院議員であるビリー・バルジャーを弟に持ち、FBI捜査官のジョン・コノリーとも幼馴染でした。
ホワイティ・バルジャーはこの環境を最大減に生かし、約30年もの間、FBIに対してギャングの情報を提供し続け、その代わりに犯罪行為を見逃してもらう密約を結んでいました。

これは全米を騒然とさせたスキャンダルであり、ホワイティ・バルジャーは逮捕されるまでウサマ・ビンラディンにつぐ額の懸賞金をかけられていました。

この映画自体もエンターテインメントとしての暴力よりも冷酷で凄惨な暴力を描いており、ホワイティ・バルジャーの恐ろしさをそのまま描き出しています。おそらく北野武監督の暴力描写が好きな人にはおすすめできる映画だと思います。

ちなみにホワイティ・バルジャーは2011年に逮捕され、終身刑2回と懲役5年の判決を受けました。

その後、バルジャーは2018年10月30日に収容先の刑務所で死亡。この件に関してアメリカのメディアは一斉に「殺された」と報じています。

大統領の陰謀

「ウォーターゲート事件」の真実を暴いた二人の政治記者の戦いの実話

『大統領の陰謀』は1976年に公開されたアラン・J・パクラ監督、ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン主演のドラマ映画。

ニクソン政権下で起きた、ウォーターゲート事件の真相に迫った二人のジャーナリストの実話を元にした作品です。

ウォーターゲート事件とは、1972年に起きた盗聴事件。当時、民主党本部の入っていたウォーターゲート・ビルに盗聴器が仕掛けられていたことが発覚。そしてその行為にニクソン政権が深く関わっていたことから類を見ない一大政治スキャンダルとなった事件です。

当初は物取りの犯行だと思われていましたが、ワシントン・ポスト記者のカール・バーンスタインとボブ・ウッドワードは犯人たちの状況から単純な窃盗ではないと感づきます。

二人は生命に関わるような妨害や脅迫の中でも懸命に取材を続け、ついにウォーターゲート事件の全貌が明らかになります。

ちなみにこの時の二人の上司が、このあと紹介する『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』の主人公であるべン・ブラッドリーです。

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

真実の価値を問う!ベトナム戦争の機密情報を巡る、命がけの争い

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は2017年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督、メリル・ストリープ、トム・ハンクス主演のドラマ映画です。

当時、泥沼化していたベトナム戦争において、アメリカの敗戦を予期していたレポート、通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の掲載をめぐってワシントン・ポストのベン・ブラッドリーらと政府との攻防を描いています。

監督のスティーヴン・スピルバーグはこの作品を「ツイートのようなもの」と述べています。その真意は自身に都合の良いものであればフェイクニュースさえも垂れ流しにしていたドナルド・トランプへの批判も今作には込められているように感じます。

ニュースの天才

捏造記事を量産したある男の一大スキャンダル

『ニュースの天才』は2003年のアメリカ映画。ビリー・レイが監督、ヘイデン・クリステンセンが主演を務めています。

1998年に起きた政治雑誌『ニュー・リパブリック』での捏造事件を取り上げた本作。捏造記事を作成したジャーナリストのスティーブン・グラスをヘイデン・クリステンセンが演じています。

『ニュー・リパブリック』誌の記者であったスティーブン・グラスはジャーナリストとしての高い能力と人柄のよさで高い評価を得ていました。

彼はハッカーがその後高い報酬で大企業に雇われるという内容の「ハッカー天国」という記事を書き、評判を得ますが、新しく編集長に就任したチャック・レーンが調査すると記事の中のPCメーカーやハッカーは実在せず、全てスティーブン・グラスの捏造であることが明らかになります。

同じようにジャーナリズムの危うさを描いた作品に『ニュースの真相』という似たタイトルの映画があるのですが、こちらはジョージ・W・ブッシュ元大統領の軍歴詐称疑惑をスクープしたが冤罪だったというもの。

どちらの映画もジャーナリズムの守るべきモラルやルールからの逸脱が描かれています。

SHE SAID/シーセッド その名を暴け

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ハリウッドのスキャンダルを暴いた二人の女性記者の戦いを描いた実話

『SHE SAID/シーセッド その名を暴け』は2022年に公開されたマリア・シュラーダー監督、キャリー・マリガン、ゾーイ・カザン主演の伝記映画です。

今作ではMeToo運動の発端となった、映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの性暴力事件を明るみにしたニューヨーク・タイムズの二人の女性記者を主人公にしています。

当初は人々の人権意識の低さ、そして契約条件などのワインスタイン側の用意した完璧な隠蔽工作に阻まれ、取材は難航しますが、二人の熱意により、ワインスタインの性暴力事件への証言や証拠が集まってきます。

日本でも同様にジャニーズの問題がありますが、やはり時代に黙認されてきたこのような犯罪行為が明るみになるのは基本的には良いことなのではないかと思います。

今の時代を象徴するような作品ではないでしょうか。おすすめです。

ニュースの真相

21世紀最大の誤報と言われたジャーナリズムのスキャンダル

『ニュースの真相』は2015年に公開された監督、ケイト・ブランシェット主演のドラマ映画です。この作品には二つのスキャンダルが登場します。

一つはブッシュの軍歴詐称疑惑、そしてもう一つはそれが誤報だったのではないかというメディアそのものへの疑惑です。

この作品で描かれるのは、報道そのものの難しさ。視聴者の焦点はブッシュの経歴詐称疑惑という本質的な部分から、証拠の捏造という部分にフォーカスしていきます。その結果、皮肉なことに軍歴詐称の疑惑そのものまでなかったこととされてしまうのです。

メディアの在り方を問うと同時に、私たちもメディアとどう向き合うのか、考えさせられる作品です。

父の祈りを

イギリス司法史上最大の汚点となった冤罪事件を描く

『父の祈りを』は1993年に公開されたジム・シェリダン監督、ダニエル・デイ・ルイス主演のドラマ映画です。

本作はイギリス司法史上最大の汚点と言われている、ギルフォード・パブ爆破事件をテーマにしています。

ギルフォード・パブ爆破事件では、実行犯として逮捕された4人、通称ギルフォード・フォーが無実であったにも関わらず、警察の強引な取り調べや証拠の隠蔽によって有罪となり、15年もの間投獄されていました。

『父の祈りを』の主人公である、ジェリー・コンロンは証拠もないまま、ギルフォード・パブ爆破事件の犯人として逮捕されます。連日の過酷な取り調べに遂に音を上げたジェリーはやってもいない罪を認めます。父のジュゼッペもまたジェリーの協力者という言いがかりをつけられ逮捕されます。

一縷の望みをかけて再審までの闘いを目指すジュゼッペとは対称的に、ジェリーは刑務所の中でも麻薬に溺れるなど退廃的な暮らしに堕ちていきます。

しかし、ジュゼッペは体調を崩し、その寿命は消えようとしていました。

ジェリーは父の無念を何とか晴らそうと無罪への戦いを続けます。

イギリス司法史上最大の汚点と言われていると先に述べましたが、これほどまでに杜撰な捜査、裁判がほんの50年前まであったのかと驚きます。

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。