今回は実話を元にしたおすすめ映画をご紹介!
本当の事とは思えない、奇跡のストーリーを中心におすすめの作品をセレクトしてみました!
ザ・ウォーク
ワールド・トレード・センターを綱渡り?!嘘のような実話の映画化
『ザ・ウォーク』は2015年に公開されたロバート・ゼメキス監督、ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演の伝記映画。
フランス出身の大道芸人であるフィリップ・プティが世界貿易センタービルの間を綱渡りしたという本当にあったエピソードが元になっています。
挑戦することの困難さと素晴らしさ(もちろん世界貿易センタービルでの綱渡りは違法ですが)を教えてくれる作品です。
映像としてもクライマックスの綱渡りのシーンはその美しさ、スケール感にひたすら圧倒されることでしょう。
導入の素晴らしさとその後のテンポの良さ、クライマックスで観客を釘付けにするような圧巻の映像美。
面白さという意味ではまず間違いのないおすすめのエンターテイメント作品です。
ドリーム
人種差別を残り超えた3人の黒人女性の物語
『ドリーム』は2016年に公開されたセオドア・メルフィ監督、タラジ・P・ヘンソン主演のドラマ映画。
舞台は1960年代。黎明期のNASAで働く黒人の女性たちの直面する人種差別と偉業にスポットを当てた作品です。
映画時代は面白く、やる気を出すためのモチベーションとしてもおすすめの作品なのですが、正直なところ実際の事実とは食い違う点も多々あり、そこは気をつけて観なければならない部分かなと思います。もちろん映画といえどもエンターテインメントなので、そこを許容するかどうかは観る人次第かなとも思います。
これはこの映画に限らず、すべての映画に言えることですが。
LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
Google Earthで生き別れた両親を見つけ出した実話
『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』は2014年に公開された ガース・デイヴィス監督、デーヴ・パテール主演の映画です。
インド出身のサルー・ブライアリーが5歳で迷子になり、養子として引き取られてから25年後、Google Earthをきっかけに家族を見つけ出し再会したノンフィクション『25年目の「ただいま」 5歳で迷子になった僕と家族の物語』を原作としています。
主人公のサルーは5歳のときにインドで両親や兄と離れ離れになります。
その後オーストラリアの夫妻の下へ養子に出されそこで何不自由なく暮らしてきたサルーでしたが、大人になった彼は実の両親に会うために記憶を元にグーグルアースで故郷を探します。
本編のドラマ部分も素晴らしいのですが、なんと言っても本編終了後のあの数分間!詳しくは言いませんが、その場面だけでも泣けてきます。この作品もおすすめの映画です。
グリーンブック
天才黒人ピアニストと白人の用心棒の実話を映画化
『グリーンブック』は2019年に公開されたドラマ映画。監督はピーター・ファレリー、主演はヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリが努めています。
イタリア系の用心棒トニー・“リップ”・バレロンガと黒人の天才ピアニストのドン・シャーリーの友情を描いた作品で、91回アカデミー賞では作品賞、助演男優賞、脚本賞を受賞しています。
『グリーンブック』がいわゆる白人が黒人を助ける映画とも読めてしまう内容のために、アカデミー作品賞の受賞に賛否両論はありました。改めて今回観返してみましたが、たとえそうだったとしても心温まる作品でしたし、そこまで批判することはないんじゃないかなと思います。
実際に白人が黒人を助けることも、また黒人が白人を助けることも両方起きていると思うんですね。だとすれば、批判ではなく、黒人が白人を助ける作品を増やせば良いのではと考えてしまいます。
黒い司法 0%からの奇跡
今なお続く人種差別と冤罪被害を描いた実話
『黒い司法 0%からの奇跡』は2020年に公開されたデスティン・ダニエル・クレットン監督、マイケル・B・ジョーダン主演のドラマ映画。
冤罪事件を専門に扱う弁護士ブライアン・スティーヴンソンのもとに舞い込んできた白人女性を殺害した容疑で死刑判決を受けているウォルター・マクミリアンという黒人男性の弁護でした。ウォルターには彼が殺人を行ったという証拠は何一つありませんでしたが、検察は誘導尋問などを駆使して、彼を殺人犯に仕立て上げました。
ブライアンはウォルターを助けるために彼の弁護を担当しますが、ウォルターは何をしても無駄だとブライアンに固く心を閉ざしていました。ですが、ブライアンの奮闘ぶりにやがてウォルターの心も前向きに変わっていきます。
アメリカに今も根深く息づいている人種差別の問題と、死刑制度の是非にまで踏み込んだ本作。『黒い司法 0%からの奇跡』は実話をもとにした作品でもあり、原作はブライアン・スティーヴンソンの著作『黒い司法 死刑大国アメリカの冤罪』の映画化になります。
このウォルターの事件が起きたのは1987年。ここまでの露骨な冤罪事件が近年でも起きていることには驚きました。
バラク・オバマ元大統領も「2019年のお気に入り映画」の1つに本作を選んでいます。
父の祈りを
イギリス司法史上最大の汚点と呼ばれた冤罪事件の映画化
『父の祈りを』は1992年に公開された、ジム・シェリダン監督、ダニエル・デイ・ルイス主演のドラマ映画です。
1974年に起きたギルフォード・パブ爆破事件と、それによって誤認逮捕された4人の一人、ジェリー・コンロンとその父であるジュゼッペ・コンロンが自らの冤罪を晴らすために奮闘する物語です。
この事件はイギリス司法史上最大の汚点とも呼ばれ、長い間再審が行われなかったために、爆破事件の真犯人は捕まらないまま、時効を迎えています(コンロン親子が収監されて数年後、事件の犯人と名乗るIRAメンバーが現れますが、結局爆破事件の容疑者としては起訴されなかったようです)。
今作のおすすめポイントはやはり実力派の俳優の演技ではないでしょうか。
ジェリー・コンロンを演じたダニエル・デイ=ルイスは史上唯一のアカデミー主演男優賞を三度受賞したことからもわかるように、その演技力には目を見張るものがあります。
彼の実力を示すエピソードとして、2007年の作品『フィクサー』での演技でジョージ・クルーニーも第80回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされていました。しかし、同じく主演男優賞にもダニエル・デイ=ルイスもノミネートされていたことから「自分が主演男優賞を受賞? ダニエルがいるから無理だよ」と答えたという逸話があります。
また、ダニエル・デイ=ルイスはその徹底した役作りでも有名で、今作『父の祈りを』では撮影中は北アイルランド訛りを徹底して話し、体重も約15Kg減量。夜は独房のセットで過ごし、世間に非難される被疑者になりきるために、撮影クルーに自分自身に向かって罵りや水を投げつけさせるなどの役作りを行っています。
キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン
先住民の富を食い物にした衝撃の実話
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は2023年に公開されたマーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ主演のドラマ映画です。
1920年代に起きた、アメリカ先住民のオセージ族の連続怪死事件をテーマにした作品です。
3時間超えの長尺の作品なので観る方も気合を入れねばなりません。
今作ではアメリカの歴史におけるダークサイド、夢や自由とは真逆にある先住民への迫害や差別などが描かれます。
当時は先住民への差別がひどく、知能的にも白人より劣っているとされており、そんな彼らの財産を白人が管理するのは当然という風潮だったそう。
オセージ族の持つ石油の採掘権や所有権を狙った一人の名士と彼に関係する白人によって行われた連続殺人。
最初の殺人に関しては捜査すらされていなかったといいます。
ディカプリオとデ・ニーロの共演も見所なのですが、なんといっても命の価値に人種によってこれほど差が出るのかという部分が最も心に残りました。
運び屋
ドラッグの運び屋はまさか80代の老人!
『運び屋』は2018年に公開されたクリント・イーストウッド監督・主演の犯罪映画です。
ドラッグの運び屋の正体はなんと80代の老人。彼がなぜ犯罪に手を染めるようになったのか、またなぜその犯罪行為は中々発覚しなかったのか。
園芸家のアール・ストーンは仕事一筋で家族を省みない生活だったため、今では家族との間に大きな溝が生まれていました。
仕事の方も厳しくなり、自宅は差し押さえになっています。
そんな中、ストーンは車を運転するだけの仕事にありつきます。しかし、そのうちにその仕事がただの運転ではなく、麻薬の運び屋だったことに気づきます。
しかし、ストーンはそれでも仕事を辞めませんでした。組織もまた老人で運び屋として疑われづらいストーンを重宝していきます。
今作を観ると、アール・ストーンと90歳近いイーストウッドの人生が重なってくるようにも思います。イーストウッドも映画人として素晴らしいキャリアを重ねる一方で、私生活は奔放で関係した女性に暴露本を出されるなどのトラブルもありました。
家族との関係を修復しようと贖うストーンの姿はイーストウッドの心の内面を描いているとは言えないでしょうか。
イントゥ・ザ・ワイルド
自由を求めて荒野へ向かった青年が見つけた本当の幸せとは
『イントゥ・ザ・ワイルド』は2007年に公開されたショーン・ペン監督、エミール・ハーシュ主演の伝記映画。
わずか24歳にしてアラスカの荒野で亡くなったクリストファー・マッカンドレスを取り上げた作品です。
美しい風景と、人々との出会い、そして何もないアラスカの大地でクリスは何を思うのか、クリストファー・マッカンドレスの歩みをたどっていくうちに私達も人生についてもう一度見直すことになる、そんな気持ちにさせてくれる映画だと思います。
エレファント・マン
「エレファント・マン」と呼ばれた容姿の男の波乱の人生
『エレファント・マン』は1980年に公開されたデヴィッド・リンチ、ジョン・ハート主演のドラマ映画。
その容姿から「エレファントマン」と呼ばれた19世紀のイギリスの男性、ジョゼフ・メリックの半生を描いています。
医師のフレデリック・トレヴェスは見世物小屋で「エレファント・マン」と呼ばれていた青年、ジョゼフ・メリックを診察します。全身に奇形を発症し、言葉をかわそうとはしないメリックを当初は白痴だと考えていましたが、ある日メリックが聖書を唱えている事に気づき、彼が優しい心と知能を備えていることに気づきます。そしてメリックのもとには上流階級の篤志家の面々から様々なサポートが届くようになりますが、一方でメリックに対する心無い差別も依然として残っていました。
個人的にも大好きな映画の一つです。特にメリックがトレヴェスの妻と面会するシーンは涙なしには観ることができません。
メリックへの差別は今で言うルッキズムの極地ではないでしょうか?
いつの時代にも通じる普遍的なテーマを備えた名作だと思います。
エリン・ブロコビッチ
史上最高の和解金を手にしたバツ2女性の実話
『エリン・ブロコビッチ』は2000年に公開されたスティーヴン・ソダーバーグ監督、ジュリア・ロバーツ主演のドラマ映画です。
離婚歴2回でシングルマザーのエリン・ブロコビッチは追突されました。
「絶対勝てる」という弁護士の言葉を信じ、事故相手を訴えたブロコビッチでしたが、法廷内での暴言が原因で敗訴。
職もない彼女は無理やり、自身の裁判を担当した弁護士であるエドワード・L・マスリーの事務所に押し掛け、自分を雇うように迫ります。
そして彼女は偶然目にした書類から、企業公害訴訟を先導していくことになります。
本作でエリン・ブロコビッチを演じたジュリア・ロバーツはその演技によりアカデミー主演女優賞を獲得しています。
フィラデルフィア
ジョナサン・デミがエイズをテーマに撮った社会派映画
『フィラデルフィア』は1992年に公開されたジョナサン・デミ監督、トム・ハンクス主演のドラマ映画です。フィラデルフィア』は1992年に公開されたジョナサン・デミ監督、トム・ハンクス主演のドラマ映画です。
大手弁護士事務所に務めていたベケットはエイズの症例のひとつであるカボシ肉腫を同僚に指摘され、エイズである疑いを持たれます。そのことが原因でベケットは担当していた案件から外され、またミスをでっち上げて解雇にまで追い込まれます。
ベケットは不当解雇だとして事務所を訴えようとしますが、エイズ患者である彼に手を貸す弁護士は中々見つかりません。
追い詰められた彼が訪れたのは法廷で戦った黒人弁護士のミラーでした。
ミラーもまたゲイやエイズへの偏見を持っていたために、一度はベケットの頼みを断ります。しかし、その後一人で図書館で調べものをするベケットと彼を避ける周りの人の様子を見て、ベケットに協力することを決意します。
今作はまだHIVに対する偏見の強かった時代を描いています。
監督のジョナサン・デミは前作の『羊たちの沈黙』で連続殺人犯をゲイの男性に設定していました。そのことがゲイへの偏見を助長するとの抗議を受けたデミ監督はこの『フィラデルフィア』でその批判に応えました。
『フィラデルフィア』は単純に実話をもとにしたとは断言しづらい部分があるのですが、実際にある弁護士がエイズを理由に勤務先から解雇されたという出来事が起きています。
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
わずか16歳で天才詐欺師となった男の実話
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』は2002年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督、レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス主演のドラマ映画。実在の詐欺師であるフランク・W・アバグネイルの半生を映画化しています。
高校生のフランク・W・アバグネイルは仲の良い両親に愛されて何不自由なく育ってきましたが、父が仕事に失敗し、衝動的に家から飛び出します、しかし、まだ16歳のフランクがまともに一人で生きていくことは困難でした。
フランクは小切手の偽造を始め、詐欺師への道のりを歩んでいきます。
個人的に本作は父と子の映画ではないかと感じます。
何としてでも成功して父親に認められたいという思いを抱いていたフランクと、そんな彼を追う捜査官のカールもまたフランクの父親代わりの存在になっていきます(カールは複数の捜査官をモデルにした架空の人物)。
ここにも幼い頃に両親が離婚したというスピルバーグの自身の投影を感じることができます。