アメリカの闇 ベトナム戦争帰還兵を描いたおすすめ映画

ベトナム帰還兵とは文字通り、ベトナム戦争からアメリカに帰国した兵士のことを言います。

ベトナムはそれまで世界最強のアメリカが敗北した戦争でもありました。過酷な戦場で兵士が負ったトラウマや心の傷、また当時のベトナム戦争反戦ムードの強まる中、アメリカのために命をかけて戦ったはずなのに、当のアメリカ国民から冷遇されるなどの哀しみを描いた作品が多いように思います。

ランボー

『ランボー』は1982年に公開されたテッド・コッチェフ監督のアメリカ映画。「ロッキー」シリーズに続くスタローンの代表作となりました。

アメリカに戻ったばかりのベトナム帰還兵であるランボーは、戦友の家を訪ねますが、そこで戦友は枯葉剤の影響で亡くなったことを知ります。

命を懸けて国のために戦ったにも関わらず、国や国民は自分達を愛してくれない。

ランボーには帰還兵のそんな苦しみやトラウマを投影させています。

「何も終わっちゃいないんだ!俺にとっては戦争は続いたままなんだ!あんたに頼まれて必死で戦ったが勝てなかった!そしてやっと帰国したら、空港にはデモ隊が俺を待ち受け、罵り声を浴びせてきた、赤ん坊殺しだ大量殺人者だってね!あいつらにそう言う資格があんのか、誰一人戦争が何かも知らないで俺を責める資格があんのか!」

ラストのランボーのセリフがこの映画の全てですね。
当時の無責任な平和主義者の矛盾をつくような、悲しみに満ちたセリフです。
国のために命を懸けて戦ったが、戦わなかったものからの嘲りや嘲笑、罵りをうけ、そして命を懸けたはずの国家は自分達になにもしてくれない。
泣きじゃくりながらこのセリフを口にするランボーの姿は胸に刺さります。

7月4日に生まれて

『7月4日に生まれて』は1990年に公開されたオリバー・ストーン監督の戦争映画。主演はトム・クルーズ。ベトナム戦争で脊髄損傷となった実在のベトナム戦争帰還兵のロン・コーヴィックを演じています。
『プラトーン』『7月4日に生まれて』と合わせて『ベトナム三部作』とも呼ばれています。
原作はロン・コーヴィックの同名著作『7月4日に生まれて』。

トム・クルーズ演じるロン・コーヴィックが自国の正義を信じて戦ったベトナム戦争と、祖国に帰ってきて戦場で負ったPTSDに苦しみながら、国内でのベトナム戦争への評価のギャップに戸惑う姿を通して、ベトナム戦争とは何かを問いかけます。
90年代の作品でありながら、そう思えないほどのリアルさがあるのは、自らも従軍経験を持ち、実際にベトナム戦場を体験したオリバー・ストーンだからこそでしょう。

ディア・ハンター

『ディア・ハンター』は1978年に公開された戦争映画です。

が出征、ベトナムの戦場を経てそれぞれの人生が変わっていく様を描いています。

マイクは五体無事で戦地から復員しベトナム帰還兵となりましたが、ベトナムでのトラウマからそれまでの趣味だった狩猟ができなくなっています。

スティーブンは両足と左腕を失い、ニックはベトナムで廃人となっていました。

戦争という狂気がいかに人の心身を蝕んでいくのか。それを克明に描いた代表的な作品ではないかと思います。

ちなみにベトナム戦争当時、ロシアンルーレットが存在したのか?というのは

タクシー・ドライバー

『タクシー・ドライバー』は年に公開されたマーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロがここでもベトナム帰還兵を演じています。

ベトナムから帰ってきたトラヴィスは日常に馴染めずにいます。

ここまで紹介してきた『ディア・ハンター』『ランボー』『7月4日に生まれて』いずれの作品もやはり日常になじめないベトナム戦争帰還兵を描いたものでしたが、『タクシー・ドライバー』で描かれる孤独な男はベトナム戦争帰還兵だけでなく、当時の孤独な若者たちの心もつかんでいきました。

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。