主役を食う⁉悪役がかっこいいおすすめ映画

今回は主役以上に悪役の方がかっこいい、おすすめの映画を紹介しています(一部主役が悪役の映画もありますが)。

どの作品も共通しているのは単純な悪役ほぼいないということ。

そして俳優の演技や設定による圧倒的な存在感。これはすべての作品に共通していると思います。

それでは、悪役がかっこいいおすすめ映画を早速紹介していきましょう!

ブレードランナー

ルドガー・ハウアーの独白に代表される、善悪を超えたSF映画の金字塔

『ブレードランナー』は1982年に公開されたSF映画です。監督はリドリー・スコット、主演はハリソン・フォードが務めています。原作はフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

酸性雨の降り注ぐ未来のロサンゼルスを舞台に、脱走したレプリカントを追う任務を負った捜査官のデッカードとレプリカントたちとの攻防を描きます。

ハリソン・フォード演じる主人公のデッカード以上に大きな印象を残すのはルドガー・バウアーが演じたレプリカントのロイ・パッティでしょう。

クライマックスでのデッカードとロイの戦いの最中、絶体絶命になったデッカードを救ったのは他でもないロイでした。
レプリカントには決められた寿命があり、ロイもまたその時の到来を感じていたのです。ロイはデッカードを前にこう話します。

「おまえたち人間には信じられないようなものを私は見てきた。オリオン座の近くで燃える宇宙戦艦。タンホイザー・ゲートの近くで暗闇に瞬くCビーム、そんな思い出も時間と共にやがて消える。雨の中の涙のように。死ぬ時が来た。」

デッカードにそう独白し、息絶えるロイ。
このシーンでロイはデッカードよりも強いインパクトを残したキャラクターとなりました。
ちなみにこの台詞はロイを演じたルドガー・ハウアーの即興だそう!

ダークナイト

ヒース・レジャーが作り出したあまりに魅力的なジョーカー

『ダークナイト』は2008年に公開されたクリストファー・ノーラン監督、クリスチャン・ベール主演のアメコミ映画。

『バットマン・ビギンズ』の続編になります。

汚職やギャングが溢れたゴッサムシティを建て直すために新任検事のハービー・デント地方検事を筆頭にジム警部補やバットマンは日夜活動し、その成果は身を結びつつありました。

しかし、ゴッサムシティに突如として現れたジョーカーにより、再びゴッサムには無秩序が訪れようとしていました。

やはり今作はヒース・レジャーが演じたジョーカーを抜いては語れません。

これまでジョーカーを演じた俳優といえばジャック・ニコルソンのイメージが強く、当初はヒース・レジャーの起用を危惧する声もあったそうです。

しかし、ヒースは一ヶ月ものあいだホテルに籠り、ジョーカーを研究しました。

笑い声やメイク(ヒースはジョーカーならメイク道具ではなく、自分の手で直接メイクするだろうと考え、実際に自分の手でメイクを施しています)に至るまでジョーカーを突き詰めたヒースは、映画の公開を待たず薬物の急性中毒にで死去。

ヒースの演じたジョーカーは絶賛され、その死後、アカデミー賞の助演男優賞を受賞することになりました。

イングロリアス・バスターズ

名優クリストフ・ヴァルツの名声を世界に広めたタランティーノの大ヒット映画

『イングロリアス・バスターズ』は2009年に公開されたクエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピット主演の戦争映画です。

ブラッド・ピット演じるアルド・レイン中尉も中々強烈なキャラクターでしたが、クリストフ・ヴァルツ演じる通称「ユダヤハンター」ハンス・ランダ親衛隊大佐のキャラクターはそれに輪をかけてインパクト大!ハンスは一見礼儀正しい人物なのですが、ユダヤ人とわかれば、女子供も全て容赦なく虐殺。しかし、ナチスに忠実なわけではなく、ナチスやレインと取引して自分の地位を守ることに固執する狡猾さも持ち合わせています。

ハンスを演じたクリストフ・ヴァルツは今作の怪演で世界的なブレイクを果たし、アカデミー賞 助演男優賞、ゴールデングローブ賞 助演男優賞、英国アカデミー賞 助演男優賞、カンヌ国際映画祭 男優賞などをはじめとして多くの賞を受賞しています。

また本作の4年後には再びタランティーノと組んだ『ジャンゴ 繋がれざる者』で二度目のアカデミー賞助演男優賞を獲得。名優との評価を確固たるものにしています。

ザ・ロック

正義を抱えた魅力的な悪役の代表格!

『ザ・ロック』は1996年に公開されたマイケル・ベイ監督、ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー主演のアクション映画。

アルカトラズが元アメリカ陸軍のハメル准将と、その部下の海兵隊員に占拠されます。彼らは人質とガス弾を交渉のカードにし、政府に1億ドルを要求します。

今まで紹介してきた悪役が魅力的な映画というのはどれもほとんどアンチヒーロー的な悪としての魅力やインパクトがあったと思います。

しかし、ハメルの本当の動機は非合法作戦に従事し、アメリカ政府に見捨てられ命を落とした自身の部下のためにという至極全うなもの。

最初から人質を傷付けるつもりはなく、またメイスンがとイギリスの元諜報部隊だとわかると敬意をもって接するなど、悪役の位置付けでありながら同時に人格者でもあることが示されています。

個人的にも『ザ・ロック』は子供の頃に観て以来、大好きな作品です。

前述のように悪役を単純な悪役として描かないことで作品に深みを持たせた部分と色彩の美しさ、テンポのいいストーリーも素晴らしく、オススメのアクション映画です。

ギャング・オブ・ニューヨーク

名優の中の名優、ダニエル・デイ・ルイスの演技が光る

『ギャング・オブ・ニューヨーク』は2002年に公開されたマーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の歴史映画です。

アイルランド系のギャングとニューヨークの地元のギャングの対立と復讐劇を描いた本作。

今作の悪役はダニエル・デイ・ルイスの演じるビル・ザ・ブッチャー。ビルと敵対するアイルランド系のギャングのリーダー、ヴァロン神父は一対一での決闘を行い、ビルが勝利を手にします。

一方、ヴァロン神父の息子のアムステルダムは密かにビルへの復讐を誓います。

時が経ち、成長したアムステルダムはビルのギャングに加入し、復讐の機会を伺いますが、ビルの人間的な魅力、そしてビルが常にヴァロン神父への敬意を持ち続けていることを知ります。

いまやマーティン・スコセッシ監督作の常連とも言えるレオナルド・ディカプリオが初めてスコセッシとタッグを組んだ作品。

今作でダニエル・デイ・ルイスはアカデミー賞主演男優賞に輝きます。

ブラックパンサー

マイケル・B・ジョーダンの存在感が圧倒的な名作アメコミ映画

『ブラックパンサー』は2018年に公開されたスーパーヒーロー映画。監督はライアン・クーグラー、主演をチャドウィック・ボーズマンが務めています。

いわゆるMCUに属する作品の一つではありますが、本作はその内容が絶賛され、スーパーヒーロー映画として初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされました。

本作のメイン・ヴィランとなるのが、マイケル・B・ジョーダン演じるキルモンガー。

このキルモンガーも単純な悪人ではないところが物語に深みを持たせています。

羊たちの沈黙

アンソニー・ホプキンスの演技が素晴らしいサイコ・ホラーの名作

『羊たちの沈黙』は1991年に公開されたジョナサン・デミ監督、ジョディ・フォスター主演のサイコ・スリラー映画です。

FBI実習生のクラリス・スターリングは上司のクロフォードからある依頼を受けます。それは世間を騒がせている連続殺人犯、通称「バッファロー・ビル」の人間像を探り、逮捕に結びつけるため、かつてのビルの主治医であり、「人食いハンニバル」と呼ばれる猟奇殺人犯ハンニバル・レクターにアドバイスをもらうこと。

クラリスは一人レクターの独房へ向かい、バッファロー・ビルのヒントを得ようとします。

当初はクラリスを追い払おうとしていたレクター博士でしたが、クラリスが背負っているトラウマを聞き出すという条件で捜査に協力することに。そこにはレクターのある思惑が潜んでいました。

ハンニバル・レクターを演じたアンソニー・ホプキンスは『2001年宇宙の旅』野悪役であるコンピュータ、HAL9000と作家のトルーマン・カポーティの声を演技の参考にしたと言います。また、レクターの狂気を表現するために、ホプキンスはほぼ瞬きをしていません。

映画のジャンルから言ってもあまり賞向きの作品とは言いがたいのですが、今作はアカデミー賞の主要5部門を独占するなど、まさに映画史に名を刻む傑作となりました。ちなみにこのアカデミー賞主要5部門の受賞は1935年に公開されたフランク・キャプラ監督の『或る夜の出来事』、1975年に公開されたミロス・フォアマン監督の『カッコーの巣の上で』以来3度目の快挙になります。そして『羊たちの沈黙』以降、アカデミー賞主要5部門を受賞した映画は現れていません。

アウトレイジ ビヨンド

全員悪人!名優たちの演技にも注目

『アウトレイジ ビヨンド』は2012年に公開された、北野武監督・主演のヤクザ映画です。

前作の『アウトレイジ』同様、全員悪人なのは変わらずに、今回は関西の暴力団である花菱会が登場するなど、物語にも幅が出ています。前作の『アウトレイジ』もそうでしたが、普段いい人役のイメージのある俳優にヤクザを演じさせるなどの意外性のあるキャスティングは今作でも健在。

西田敏行や塩見三省など、予想外の人物が花菱会の幹部ヤクザを演じており、主演のビートたけし以上にインパクト抜群!

まぁ個人的には映画の内容よりも、劇場での鑑賞時に前方の席に本職の方々がいらしたのが何よりのインパクトだったんですけれども(北九州の映画館で鑑賞)。

ターミネーター

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シュワルツェネッガーをスターダムに押し上げた、SF映画の永遠の名作

そして何と言ってもこの作品を紹介しないわけにはいきません。

『ターミネーター』は1985年に公開されたジェームズ・キャメロン監督、アーノルド・シュワルツェネッガー主演のSFアクション映画です。

今作はシュワルツェネッガーのブレイク作としても知られていますがそもそも、今作でのシュワルツェネッガーは悪役なんですよね。

無表情かつ無口でどこまでも冷徹に主人公たちを追い詰めていくアンドロイド、T-800はドイツ訛りの抜けなかったシュワルツェネッガーには逆に好都合な役柄でした。

今作で獲得した人気もあってか、続編の『ターミネーター2』では主人公の味方側として登場。

その後も多くの続編、リメイク作が作られるなど、『ターミネーター』シリーズがいかに人気シリーズなのかを証明しています。

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。