今回紹介するのは機械との闘いを描いたおすすめのSF映画です。
古くは『メトロポリス』などがその代表例かもしれません。
以前までは機械(AI)=人類の敵のような映画が多かったのですが、AIが間近になり、機械(AI)が味方になったり、自由意志を持つことの可能性をより幅広く提示した映画が増えてきた印象があります。
ターミネーター
SF映画の代表作!シュワルツェネッガーを一躍スターダムに押し上げた名作映画
『ターネミーター』は1984年に公開されたジェームズ・キャメロン監督、アーノルド・シュワルツェネッガー主演のSFアクション映画。
機械との戦いを描いたSF映画の中でも最も有名なのは『ターミネーター』シリーズではないでしょうか。
特に第一作目の今作は味方になるサイボーグもおらず、純粋に機械VS人間の戦いに集中できます。
審判の日と呼ばれる、機械軍(スカイネット)が人間に対して反乱を起こし、核を投下した日から機械と人類の戦争は続いていました。
審判の日によって生き延びた人間は僅かでしたが、一人の指導者、ジョン・コナーのおかげで人類の勝利は目前に迫っていました。
追い詰められたスカイネット側はタイムマシンでターミネーター(T-800)を過去に送り込み、ジョンの母親であるサラ・コナーを殺そうとします。
1984年の公開当時からすると、金属の骨格を生きた細胞で覆ってあるというターミネーターの設定は斬新なのですが、あくまで機械として描かれており、AIのひとつだ、という見方は希薄かなと思います。
それはカイル・リースの「機械を信用するな、やつらには悲しみや後悔の感情はないんだ」というセリフにも表れています。
一方で、続編の『ターミネーター2』では『ターミネーター』で敵だったT-800が味方になり、最終的には命の価値を学ぶなど、単純な人工知能=悪で終わらないところが興味深いです。
ちなみに『ターミネーター2』が公開された1991年にソ連は崩壊。冷戦も終わりを迎えています。
さらに2019年に公開された最新作である『ターミネーター ニューフェイト』ではジョン・コナーを殺害したターミネーターは任務遂行後、ある親子を助けたことをきっかけに人間社会の中で暮らしていくにつれ、徐々に良心が芽ばえ、ジョンを殺した後悔の念を持つようになっています。AIがまだまだ未来の技術だった『ターミネーター』公開時に比べると、AIはもはや日常に溶け込んだツールになった今、AI=悪の図式はあまりに、非現実的なものになったとも言えるでしょう。
『ターミネーター』というひとつのシリーズの中でも時代によって機械の見方が変化しているのは興味深いと思います。
マトリックス
映像革命と呼ばれた、いまなお色褪せないSF映画の金字塔
『マトリックス』は1999年に公開されたラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー監督キアヌ・リーヴス主演のSFアクション映画。
エンジニアとして働くトーマス・アンダーソンは「起きていてもずっと夢を見ているような感覚」に悩まされ、眠れない日々を過ごしていました。
トーマスには天才的なハッカーとして数多くのコンピューター犯罪を犯している「ネオ」という顔もありました。
そんな彼のもとに何者かのメッセージが届きます。
「白兎のあとを」その言葉に導かれるようにネオはトリニティ、そしてモーフィアスへと辿り着きます。
そしてモーフィアスから告げられた世界の真実はという現実でした。
こちらでは機械というよりも機械が産み出したプログラムとの戦いであり、その舞台もマトリックスと呼ばれる敵の機械が生み出した仮想空間の中でのもの。
『マトリックス』公開当時は仮想空間、仮想現実という概念はまだまだ一般的ではありませんでしたが、インターネットは普及しつつあり、機械からプログラムの方へテクノロジーの中心が変化して行く中で公開された作品だったのではないかと思います。
『マトリックス』は機械からプログラムへと技術の軸が変化していった現実の流れを反映していった作品と言えるでしょう。
アイ,ロボット
アイザック・アシモフの原作を映画化。「ロボット三原則」の行き着く先とは?
『アイ,ロボット』は2004年に公開されたアレックス・プロヤス監督、ウィル・スミス主演のSFアクション映画です。
アイザック・アシモフの『我はロボット』を原作に、「ロボット三原則」をテーマにしたストーリーとなっています。
2035年のシカゴ。そこはロボットが各家庭に行き渡り、ロボットと人間が共存している世界でした。ロボットには全て「ロボット三原則」と呼ばれる規則がプログラムされており、人間に決して危害を加えることができないようになっていました。
シカゴ市警のデル・スプーナーはある事件がきっかけでロボットを全く信用していませんでした。そんな彼のもとに旧知の博士が自殺したという知らせが飛び込んできます。
自殺した博士の部屋にはサニーと名乗る一体のロボットが。
スプーナーは「サニーが博士を殺したのではないか?」との疑念を抱きます。
サニーを尋問し、証拠を得ようとするスプーナーですが、彼の考えは「ロボット三原則」が前提として成り立っている社会の中では全く受け入れられず、単独で捜査を続けます。
しかしスプーナーを妨害するように多数のロボットがスプーナーに襲いかかります。
人型のロボットと戦うという意味では『ターミネーター』と同じく古典的な対機械のイメージなのですが、AIの不確かさや自我、残酷なまでの合理性などを描いているのは時代の流れだなと思います。
トランセンデンス
人間がAIになったらどうなるかを描いた問題作
『トランセンデンス』は2014年に公開されたジョニー・デップ主演のSF映画です。
人工知能を研究するウィルは反テクノロジー団体のテロを受け、銃撃されてしまいます。その銃弾には毒があり、ウィルは余命幾ばくもない状態に陥ります。妻のエヴリンは、ウィルの意識を人工知能にアップロードし、ウィルをAIとして蘇生しようとします。
しかし、復活したウィルは加速度的に情報を集めていき、人類を超越した存在へと成長していきます。
ストーリーは酷評されていた今作ですが、ナノマシンを活用するというアイデアは当時としては斬新だったのではないでしょうか。ツッコミどころも多い作品ではあるのですが、視覚効果の面では光るものがあるので、今回おすすめ映画に加えてみました。
ザ・クリエイター/創造者
AIと人間はどう向き合うかを描いたおすすめSF映画
『ザ・クリエイター/創造者』はギャレス・エドワーズ監督、ジョン・デヴィッド・ワシントン主演のSF映画。
AI技術が身近になった2023年に公開された作品です。
近未来、AIが反乱を起こし、アメリカのロザンゼルスには核爆弾が落とされました。その日以来、欧米諸国はAIを敵とみなし、戦争状態にありましたが、一方のアジア圏はニューアジアと呼ばれ、AIとの共存を果たしていました。
アメリカ軍のジョシュアはスパイとしてニューアジアに潜入していましたが、いつの間にか妻のマヤと心から愛し合うようになっていました。
ある日、二人の家にアメリカ軍が踏み込み、ジョシュアはスパイであることがバレてしまいます。ジョシュアの必死の呼びかけにも関わらず、マヤは家を飛び出し逃げようとしますが、アメリカ軍の兵器によって爆撃を受け、生死不明となります。
5年後、ジョシュアはニューアジアで人類を滅ぼす兵器が開発されたと聞かされます。そして、隠し撮りされたビデオに写っていたのは妻のマヤの姿でした。
ジョシュアは兵器を創った創造者を見つけるため、そして妻の生死を確かめるためにニューアジアに向かいます。
なんといっても「AIを敵とみなす国家」vs「AIとの国家」という構図が現代のAIの捉え方らしいなと感じます。
かつてはAIは人類の敵となる設定が当たり前とも言えたのですが、実際にAIを一つのツールとして実際に活用している今では、単純に敵とするだけではリアリティがないという側面もあるのかなと感じます。