『バッドボーイズ フォー・ライフ』最高の続編の一つ。シリーズを完全に復活させた傑作!

概要

『バッドボーイズ フォー・ライフ』は2020年に公開されたアディル・エル・アルビ、ビラル・ファラー監督、ウィル・スミス、マーティン・ローレンス主演のアクション・コメディ映画。

あらすじ・ストーリー

感想・解説

まさか続編ができるとは!それが『フォーライフ』の制作を知った時の素直な感想だ。

だが前作の『ツーバッド』から17年というブランクの長さに不安もあった(ウィル・スミスは2008年からプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーに『バッドボーイズ』シリーズの続編制作を訴えていたらしいが)。

紆余曲折を経て2020年に公開された『フォーライフ』は他の映画たちが陥った罠にハマることなく、最高のエンターテインメントを届けてくれた。

2019年に28年ぶりにジェームズ・キャメロンがシリーズに復帰したことでも話題となった『ターミネーター ニュー・フェイト』は物語自体は悪くなかったように思うが、ジョン・コナーを冒頭で殺してしまい、そのことにファンからは強い賛否両論を受けることとなった。

キャラクターへの捉え方の違いとして、そのシリーズのオリジネイター(この場合はキャメロン)にとってキャラクターが大きな物語を構成するためのパーツの一つだとしたら、ファンにとってはそのキャラクターそのものに愛情があるという点が大きな違いだろう。

その点ではそのシリーズのファンが映画監督になって、続編を作るというのが一番の最適解ではないかと思うのだ。

例えば2007年に公開された『ダイ・ハード4,0』の監督を務めたレン・ワイズマンはマクレーンのセリフを全て覚えているほどの『ダイ・ハード』シリーズのファンだという。

今回『フォーライフ』の監督を務めたアディル・エル・アルビとビラル・ファラーもまた『バッドボーイズ』シリーズの熱烈なファンだった。

『フォーライフ』にはそれを証明するかのようにいままでの『バッドボーイズ』シリーズのオマージュのようなカットも多い。また、『バッドボーイズ2バッド』で登場したレジーなどのキャラクターも再登場し、その時の流れと成長ぶりを見せてくれる。

作品のファンではない人物が伝統のあるコンテンツを監督した場合の失敗例は数多い。

パッと思いつくのは『GODZILLA』の監督を務めたローランド・エメリッヒ。『GODZILLA』が酷評されると「仕方なく監督を引き受けた、ゴジラに興味はなかった」とさえ言い放った(だったらゴジラファンの映画監督他にもっといただろ!と言いたい)。

だが、今作『バッドボーイズ フォーライフ』には、もちろんそんな心配は無用だ。ちなみに『バッドボーイズツーバッド』はマイケル・ベイによるカット割りが細かすぎて、何をやっているのかよくわからないアクションシーンもあったのだが、もちろん今作ではそのようなこともないので安心いただきたい。

『フォーライフ』ではこれまで明かされなかったマイクの過去が明かされる。

「マッチョでクールでセクシー」ないかにもな「男らしさ」でもって描かれ続けてきたマイクだが、『フォーライフ』ではそんなマイクの過去の苦みや過ちが描かれているのだ。

それでもマイクというキャラクターの根幹を揺るがすことのないたアディル・エル・アルビとビラル・ファラーの手腕はさすがとしかいいようがないが、「男らしさ」とはまた違ったマイクのキャラクターの変化にもこの17年という時代の流れを感じざるを得ない。

評価・レビュー

95

完全にシリーズを復活させてしまった今作。これほど観て笑えて楽しいエンターテインメント・アクション映画もそうないのではないだろうか。

元々コメディアンであるマーティン・ローレンスと、コメディ映画でも多くの出演作を持つウィル・スミス、この二人の息の合った掛け合いは、他の俳優では不可能だろう。

映画は脚本次第と思ってはいるものの、『バッドボーイズ』シリーズにおいては俳優の魅力も欠かすことはできない。

作品情報・キャスト・スタッフ

2020年製作/124分/アメリカ

監督
アディル・エル・アルビ
ビラル・ファラー

脚本
クリス・ブレムナー
ピーター・クレイグ
ジョー・カーナハン

出演
ウィル・スミス
マーティン・ローレンス
ヴァネッサ・ハジェンズ
アレクサンダー・ルドウィグ
チャールズ・メルトン
パオラ・ヌニェス
ケイト・デル・カスティーリョ
ニッキー・ジャム
ジョー・パントリアーノ

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ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
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