『バッドボーイズ RIDE OR DIE』前作超え!これぞファンが望む続編映画!

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概要

『バッドボーイズ RIDE OR DIE』は2024年に公開されたアディル・エル・アルビ、ビラル・ファラー監督、 ウィル・スミス、マーティン・ローレンス主演のコメディ映画。『バッドボーイズ』シリーズの第4作目に当たる。

あらすじ・ストーリー

前作から4年後、ついにマイクは理学療法士の女性と結婚を果たす。しかし、その結婚式の場で相棒のマーカスは心臓麻痺を起こし、生死の境を彷徨うことになる。

マーカスは臨死体験の中で、殉職したかつての上司ハワードから「まだ死ぬには早い」と声をかけられる。

蘇生したマーカスは「俺は死なない」と信じ切っており、その様子にマイクも辟易する。

そんなときにハワードに麻薬組織との汚職スキャンダルが持ち上がる。

マーカスとマイクは亡き上司の疑いを腫らそうとするが、独自に捜査を進める過程で、二人も黒幕によって警官殺しの汚名を着せられ、さらには懸賞金までかけられてしまう。

感想・解説

このところハリウッドもネタ切れなのか、過去のヒット作の続編であったり、リブートを行うことが増えてきた。

しかし、多くの作品でやはりオリジナルは超えられていない。

『マトリックス レザレクションズ』や『ターミネーター:ニュー・フェイト』などがその例だろう。これらの作品は完全にではないにせよ、オリジナル版の監督が作品に復帰した例でもあるのだが、それでもオリジナルを超えることは難しいという事実をまざまざと見せつけることとなった。

その理由は彼らがシリーズのゴッドファーザーであり、全ての創始者であるという点こそが実は問題なのかもしれない。

彼らはシリーズの生みの親ではあるものの、シリーズのファンとは微妙に立ち位置が違う。つまり、ファンが望む続編を作るという意味では最適な存在とは言えないのだ。

この場合、最も失敗が少ないのはシリーズのファンが映画監督になり、続編を作成した場合だ。前作から12年ぶりの続編となった『ダイ・ハード』の監督、レン・ワイズマンはシリーズ中のジョン・マクレーンのセリフを全て覚えているほどの『ダイ・ハード』ファンだという。

そして『バッドボーイズ フォー・ライフ』の監督を務めたアディル・エル・アルビとビラル・ファラーもまた『バッドボーイズ』シリーズの熱狂的なファンだったという。

『バッドボーイズ フォー・ライフ』は前作『バッドボーイズ2バッド』から17年ぶりとなる続編だったが、なんと第1作目の『バッドボーイズ』、2作目の『ツーバッド』の合計興行収入を超える成績を叩き出してしまった。

『バッドボーイズ フォー・ライフ』は私自身も映画館で観たのだが、確かにファンが観たい『バッドボーイズ』だった。シリーズの魅力であるコメディやアクションはさらに磨かれ、かつ新しい要素としてそれまではワイルドさやプレイボーイの一面が際立っていたマイクの影の部分にフォーカスした作品となっていた。公開当時はマイクを演じていたウィル・スミスも50代に突入した頃であり、こうした設定も違和感なくハマるようになっている。長いブランクを挟んだ続編映画として、『バッドボーイズ フォー・ライフ』は個人的にもこの上ない成功作だと思える作品だ。

さて、『バッドボーイズ フォー・ライフ』の成功によって作られたのが今回の『バッドボーイズ RIDE OR DIE』。監督は引き続きアディル・エル・アルビとビラル・ファラーが務めている。

ウィル・スミスは続編の条件として「新しい要素」が必要だと述べている。ウィル・スミス曰く「バッドボーイズが容疑者になること」が今作の新しい要素だとのことだが、個人的には「衰え」もそうだろう。マイクは発作のような症状が出るようになり、マーカスは心臓麻痺を起こす。

映画の主人公は銃撃戦の中でも不思議と弾が当たることはないが、それでも不死身ではない。

その一方で若手のキャラクターの活躍が著しい。まずはマーカスの娘婿のレジー。『バッドボーイズ2バッド』でカメオ的なキャラクターとして初登場したレジーは、当初は内気で大人しいボーイフレンドというキャラクターだった。演じるデニス・グリーンも当時は俳優ではなく素人だったようで、マイクとマーカスにからかわれる場面での困った表情は演技ではなく素の表情だという。

レジーは『バッドボーイズ フォー・ライフ』ではが、『バッドボーイズ RIDE OR DIE』ではなんとアメリカの海兵隊に所属する若き父親になっており、マーカス邸に侵入した敵組織の部隊員15名を圧倒的な強さで倒している。

また、前作の敵キャラクターだったアルマンドも今作ではバッドボーイズに並んで活躍するキャラクターのひとり。

前作の後半ではアルマンドが実はマイクの子供であることが判明している。

今作では家族に対する複雑な思いを見せながらも、マイクとマーカスに協力し、ハワードの孫を敵組織から奪還し守り抜くという大活躍をする。

が、キャラクター一人ひとりをとても大事にしているのが伝わる。これがファン目線での映画づくりというものだろう。

前作で亡くなった設定のハワードに対しても、生前の映像やマーカスの臨死体験の際のイメージという形で新録での出演となり、ハワードのファンに対してもしっかり満足感を得られるように細かく計算されている。

エンターテインメント系の作品の中ではまず間違いないおすすめ作といっていいだろう。

評価・レビュー

93

とはいえ、点数的な評価は逆に難しくなった。社会的な映画ほどのメッセージ性や問題提起はそもそもない(エンターテインメント・アクションにそんなものを求めるのも間違いだが)。

続編映画としても『バッドボーイズ』シリーズとしてもこちらの期待値はしっかり超えてきている。

しかし、のラストでの処遇であったり、1作目から登場しているあるキャラクターがあっさり殺されてしまったりという細かい点は気になった(それでも前作には出演していないのだから、21年ぶりのシリーズへの復帰それ自体に喜んだファンも多いことだろう)。

いずれにせよ、この部分は個人的な好き嫌いもあるので、主観的な評価としてこの点数にさせてもらった。

アクション・エンターテインメントとしてはトップクラスの出来なのは間違いないので大いに楽しんでもらいたい。

作品情報・キャスト・スタッフ

2024年製作/110分/アメリカ

監督
アディル・エル・アルビ
ビラル・ファラー

脚本
クリス・ブレムナー

主演
ウィル・スミス
マーティン・ローレンス
パオラ・ヌニェス
ヴァネッサ・ハジェンズ
アレクサンダー・ルドウィグ
ジェイコブ・スキピオ
エリック・デイン
ジョー・パントリアーノ

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