『ブレット・トレイン』メチャクチャな日本描写でも最高に楽しめる痛快アクションコメディ

概要

『ブレット・トレイン』は2022年に公開された デヴィッド・リーチ監督、ブラッド・ピット主演のアクション映画。

原作は伊坂幸太郎の『マリアビートル』。小説では脇役だったレディバグが本作の主人公となる。

あらすじ・ストーリー

感想・解説

2022年に公開された映画の中でも『ブレット・トレイン』は抜群に面白かった。

ブラッド・ピット演じるレディバグが主人公ではあるものの、どのキャラクターもしっかりと描きこまれていて、ある種の群像劇のようにも見える。

正直に言えばこうしたエンターテインメント的な映画の面白さは中々文字として表現するのが難しい。

それでもやはり抜群に面白いので繰り返し観てしまう。

その魅力のひとつはそれぞれのキャラクターがしっかり立っていることに加えて、どのキャラクターにも複雑さと人間臭さが感じられ、単調さを上手く回避している。

主人公のレディバグも『ランボー』のような超人的なヒーローではない等身大の男だ。だからこそ、主人公としては共感しやすい。

そんな男がなんだかんだで(ラッキー含めて)敵を倒していく。

監督のデヴィッド・リーチは元々スタントマン出身の監督だ。スタントマンゆえの発想だろうか、本作はまずアクションの部分から考えていき、それをストーリーとして構成していったという。

確かに言われてみればほぼ全編がアクションと言ってもいいほど、その量は多い。新幹線という限定されたシチュエーション、それも座席ばかりでアクションにはかなり制約のある環境だが、さすがはデヴィッド・リーチともいうべき、環境を逆手に取った斬新なアクションが次々に展開される。

アクションと言えば、『ジョン・ウィック』シリーズの監督であるチャド・スタエルスキもまたスタントマン出身の監督だ。個人的には現在のアクション映画の最高峰は『ジョン・ウィック』シリーズだと思っているが、やはりスタントマン出身の監督はアクションとは何かをよくわかっている。

ちなみにデヴィッド・リーチは『ファイト・クラブ』の撮影の時にブラッド・ピットと知り合ったそうだ。

そう考えると二人の関係も20年以上のものになるわけで、そんな絆もこの映画をより良いものにしているのかも知れない。

とにかくエンターテインメント系のアクション映画としてイチオシの作品だ。

評価・レビュー

98点

ブラッド・ピットが日本語を話したり、日本の全自動トイレに驚くなど、日本人としてはニヤリとさせられる。

しかし、本作は日本を舞台にしているものの、コロナ禍での製作を余儀なくされ、日本ロケは行っていないという。

また日本描写に関しても確信犯的だが、かなり現実離れしたものが多い。

それでも許せるのは現実の日本とは似ても似つかない設定も多いが、よくある間違った日本描写の「本物とズレた可笑しさやカッコ悪さ」ではなく、「本物とズレていてもかっこいいもの」を目指しているからだろう。また日本人キャストとして大きな役割を負っている真田広之の存在も本作を格調高くし、また「トンデモ日本描写」にさえある程度の説得力を与えている。

とにかく細かいことは気にせずに楽しめるエンターテインメント作品だ。まずはとにかく観てみてほしい。

作品情報・キャスト・スタッフ

2022年製作/118分/アメリカ

監督
デヴィッド・リーチ

脚本
ザック・オルケウィッツ

主演
ブラッド・ピット
ジョーイ・キング
アーロン・テイラー=ジョンソン
ブライアン・タイリー・ヘンリー
アンドリュー・小路
真田広之
マイケル・シャノン
サンドラ・ブロック
ベニート・A・マルティネス・オカシオ
ローガン・ラーマン
ザジー・ビーツ
マシ・オカ
福原かれん

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
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