概要
『コマンドー』は1985年に公開されたマーク・L・レスター監督、筋肉モリモリマッチョマンの変態アーノルド・シュワルツェネッガー主演のアクション映画。
『ターミネーター』では悪役だったシュワルツェネッガーが一転してヒーローを演じている。シルヴェスター・スタローンと並んで、1980年代のアクション映画を牽引したシュワルツェネッガーの代表作の一つと言えるが、日本ではそのインパクト抜群のセリフがネット上で話題となり、ネタ映画、カルト映画としての人気が高い。
あらすじ・ストーリー
感想・解説
筋肉モリモリマッチョマンの変態だ!
これ以上に破壊力抜群の日本語訳があるだろうか。ある意味『フルメタル・ジャケット』のハートマン軍曹のシゴキのセリフに並ぶインパクトだ。
YouTubeを覗けば、そこには『コマンドー』のセリフ集がアップされており、それだけ観ても映画の内容が手に取るようにわかってしまう。それだけ全編にわたって名言・名セリフの宝庫なのだ。
私が『コマンドー』を初めて観たのは小学生の時。やはり当時のヒーローはアーノルド・シュワルツェネッガーだった。アクション映画がまだ全盛期だった頃だ。
その時は作品の持つ荒唐無稽さよりも、純粋なアクション映画として『コマンドー』を楽しんでいた(それでも「筋肉モリモリマッチョマンの変態」のセリフにはとても驚いた)。
それから大学生になり、ネットが身近になると『コマンドー』がネットの世界で有名な作品となっているのを知る。その日本語訳がインパクトとなんとも言えない「味」を出しており、本来とはまた違った意味で人気作になっていた。
もちろんそういった「ネタ映画」としての魅力も『コマンドー』は兼ね備えているのだが、今改めて『コマンドー』を観ると、1980年代のアメリカの世相をとても素直に反映した作品だと感じる。
当時の大統領はロナルド・レーガンだが、彼が目指した強いアメリカを『コマンドー』のアーノルド・シュワルツェネッガーは体現しているように思う(ちなみに二人とも共和党支持者)。
また、コマンドーはバル・ベルデという架空の国家が舞台になるが、実際に当時の中南米も社会主義勢力の台頭により政情が不安定な国が多かった。バル・ベルデは独裁者が現政権を倒してクーデターを実現しようとしている国家だが、実際にニカラグアは同じようように社会主義勢力が実験を握り、反政府組織との、間で内戦状態に陥った。もちろん社会主義である政府の後ろ盾となったのはソ連だ。
中南米のこうした紛争はソ連とアメリカの代理戦争でもあったのだ。
『コマンドー』は荒唐無稽なアクション映画として頭を空にして楽しめるエンターテインメン作品でもあるのだが、それだけではない魅力がある。是非この解説を見てくれた後に、もう一度観てみてほしい。
評価・レビュー
75点
本編でシュワルツェネッガーは敵を74人殺しているらしい。『ターミネーター』よりも遥かに大きな殺傷を生身の人間が行っているのだ。ここまでの無敵っぷりを見せつけられると思わず笑うしかない。
セリフも時代背景も無視すると、やはり凡百で大味なアクション映画だと思う。こんな作品を何本観たことだろうか。
しかし、それでもシュワルツェネッガーのスター性がこの映画に風格を与えている。
スタローンとは対称的に演技力では称賛されることのないシュワルツェネッガーだが、紛れもないスターにしか出せない存在感がある。のちにコメディでもその才能を発揮するシュワルツェネッガーだが、本作で既にその萌芽はあるのではないだろうか。
作品情報・キャスト・スタッフ
1985年製作/101分/アメリカ
監督
マーク・L・レスター
脚本
ジャック・ソーン
スティーヴン・コンラッド
主演
アーノルド・シュワルツェネッガー
レイ・ドーン・チョン
アリッサ・ミラノ
ヴァーノン・ウェルズ
ダン・ヘダヤ
ビル・デューク
デヴィッド・パトリック・ケリー
チャールズ・メシャック
ジェームズ・オルソン