『クリード 過去の逆襲』なぜ日本ではヒットしなかったのか?

概要

『クリード 過去の逆襲』は2023年に公開されたマイケル・B・ジョーダン監督・主演のボクシング映画。『クリード』シリーズとしては3作目、『ロッキー』シリーズも含めると9作目になるが、今作にロッキー役となるシルヴェスター・スタローンは参加していない。

あらすじ・ストーリー

感想・解説

2015年に公開された『クリード チャンプを継ぐ男』は間違いなく傑作だった。

同作の監督を務めたライアン・クーグラーは父が病気になったことをきっかけに、『クリード チャンプを継ぐ男』の物語を着想したという。

亡き父の隠し子という自分の出自に対して複雑な思いを抱くアドニス・クリードと、ボクシングからは身を置き孤独な暮らしをしているロッキー。

そんな両者が出会い、互いに家族のような絆で結ばれていく。

ロッキーは息子と疎遠になっており、またアドニスにも父はいない。

『クリード チャンプを継ぐ男』は単なるボクシング映画ではなく、また『ロッキー』シリーズのスピンオフと言い切るにはあまりにドラマティックな作品なのだ。

ボクシングはあくまでもただの「道具」であり、その本筋はロッキーとアドニスが互いの存在を通じて人生を再発見していくドラマにある。

そう思うと『クリード 過去との逆襲』はただのボクシング映画になってしまった印象が強い。それも引退したとは言え、元世界チャンピオンに刑務所上がりの素人ボクサーが互角に渡り合うのは無理があるだろう。

『クリード 過去の逆襲』はシリーズ最高の興行収入を叩き出した作品ではあるのだが、マイケル・B・ジョーダンが初来日しプロモーションするほどの力の入れようだったにも関わらず日本ではあまりヒットしなかった。
これは日本国内でのマイケル・B・ジョーダンの知名度やロッキーの不在ということもあるのだろう。

しかし、『クリード』シリーズのファンである私から見ても、本作には物足りなさを感じる。演出やボクシングシーンは本当に丁寧に作られているのがよく分かるのだが、『クリード』シリーズであれば、もっと重層的な物語の作品を期待したかったところだ。

評価・レビュー

44

こうしてみると、やはり『クリード』シリーズでもロッキー役のシルヴェスター・スタローンの存在感は唯一無二のものであったと痛感する。キャスト陣の演技に問題はないが、シリーズのゴッドファーザーがいなくなった寂しさがどうしても滲み出ているような気がする。

作品情報・キャスト・スタッフ

2023年製作/116分/アメリカ

監督
マイケル・B・ジョーダン

脚本
キーナン・クーグラー
ザック・ベイリン

主演
マイケル・B・ジョーダン
テッサ・トンプソン
ジョナサン・メジャース

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。