『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』はつまらない?ありえない偶然とアクションの連続に賛否両論の作品

概要

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』は2024年に公開された映画。『名探偵コナン』の劇場版第27作目となる作品であり、公開わずか3日で興行収入33億円のロケットスタートを叩き出した。

あらすじ・ストーリー

感想・解説

普段なら映画館で『名探偵コナン』を観ようなんて絶対に思わないのだが、この興行収入の凄さをニュースで知り、その理由が知りたくて映画館に足を運んだ。

基本的に子供やファミリー向けの作品だと思うが、やはりコンテンツそのものに大人も楽しめる土壌があることは大きい。

『名探偵コナン』を最初からリアルタイムで観ていた子供も今では40代になっているだろう。

つまり、親子で楽しめる作品に成長したということだ。もちろん子どもと親では作品の惹かれるポイントも違ってはくるだろうが。

今作はアクション・エンターテインメントに振り切った内容で、そこは映画館でも子供の目を釘付けにさせていた。

しかし、大人の目から見ればただの高校生がありえないアクションと偶然の連続を繰り広げていて、リアリティの欠片も感じられない演出に興ざめしてしまう。

もちろん、『名探偵コナン』にそんなものを求めるべきではないという声もあるだろう。

それはわかるが、それにしても、という感じなのだ。

私の見た限りだが、今回映画館に足を運んだ人で一番多かったのはファミリー層だった。であれば派手でわかりやすいアクションがあるのもいい。

だが、個人的には決して映画ファンから評価されるような作品ではない気がする。

同じく毎年の映画化が恒例になっている『クレヨンしんちゃん』と比較しても、まだ『クレヨンしんちゃん』の方が社会的なメッセージや、現実社会の問題点を映画の中に盛り込んだりしていて、見ごたえがあった(例として『戦国大合戦』では日本映画の中でも稀に見る時代考証の正確さが話題となった)。

正直に言えば『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』を観た理由の一つは食わず嫌いは良くないと思ったのも一つある。

私自身は『クレヨンしんちゃん』のファンだが、それはたかが子供向けアニメの映画版だと侮れない作品がままあるからだ。

同じように劇場版『名探偵コナン』にも侮れない部分があるのではないかと一縷の期待はしていたのだが。

肝心の謎解きにしても、もう少し推理に確証がほしいところではある。もはや「半分妄想ですよね?」と言いたくなるくらいの当てずっぽうでどんどん宝の在処が明らかになっていくのには閉口した。それも宝の場所を示すのにめちゃくちゃ回りくどいことをしているのにも疑問が残る。その割には案外あっさりした所にあったために、何もそこまでしなくてもという思いは余計に強くなるばかりだ(あそこまで複雑な暗号化する理由が見当たらない。上映時間を埋めるためという理由以外には)。

唯一面白かったのは「お宝」の正体。

そもそもこの現代において、「宝を盗む」ということがそれほどのリアリティとロマンを持って受け入れられるとは思えないのだ。既にそれが通用する時代ではなくなっている。現実に最近でも金の茶碗が盗まれる事件が起きたが、その顛末を知ると盗むことへのロマンも何もあったものではない。ただの犯罪だ。

同じように、兵器や武器にそれほどの価値があるとも思えない。既に世界には核兵器が山のように存在する時代だ。むしろ経済であったりネットワークの支配の方が重要なのではないか。

今回の「お宝」はそのことを痛烈に皮肉っているように感じられてならない。

評価・レビュー

42

というわけで全体的な評価は低め。ラブコメ部分も三角関係は面白いのだが、告白に手間取る部分やラストシーンはお約束すぎて、「またそのパターンね」と白けてしまった。ただ、レビューを見ていたら前作の評判は高いらしいので、そちらは観てみるかもしれない。

作品情報・キャスト・スタッフ

2024年製作/111分/日本

監督
永岡智佳
脚本
大倉崇裕

主演
高山みなみ
山口勝平
山崎和佳奈
小山力也
堀川りょう
宮村優子
ゆきのさつき
小野大輔
遊佐浩二
緒方賢一
林原めぐみ
岩居由希子
高木渉
大谷育江
松井菜桜子
石井康嗣
大泉洋

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。