『勝手にふるえてろ』日本人にしか作り得ないコメディ映画

概要

『勝手にふるえてろ』は2017年に公開された大九明子監督、松岡茉優主演のコメディ映画。原作は綿矢りさによる同名小説。

主演の松岡茉優にとっては本作が初主演作となった。

あらすじ・ストーリー

感想・解説

日本のお笑い芸人が海外に挑戦するというニュースをたまに耳にする。
アメリカに渡ってコメディアンを目指すというものだ。

私見ではあるが、日本のお笑いはあくまで日本人に最適化されたお笑いであり、アメリカの笑いはあくまでアメリカ人に最適化された笑いなのだと思う。

音楽なら言葉がなくても通じる分、まだ可能性は大きいと思うが、それでもKISSのジーン・シモンズは非英語圏の音楽がアメリカで成功するのは難しいと答えている。
ましてお笑いならその成功はさらに困難だろう。

うろ覚えで真偽の程も定かではないのだが、志村けんが『Mr.ビーン』シリーズで知られるローワン・アトキンソンとの共演を打診されたそうだ。しかし、志村けんは「面白くなるわけがない」としてそのオファーを断ったという。

この話の真偽はわからないものの、その意見には賛成する。

もちろん『Mr.ビーン』の笑いは私達に理解できないものではない。だが、それは例えるならイギリス料理のようなものだ。美味しいは美味しいだろうが、だがどうあがいても味噌汁のように心から日本人に合う味ではない。どんなに美味しくてもソウルフードにはなれないのだ(もちろんイギリスの方にとってはその逆だろう)。

そういった意味ではこの『勝手にふるえてろ』は日本人に合った味わいのコメディだ。

松岡茉優演じる良香のぼっち感は個人主義のアメリカでは共感されづらいかもしれないし、またのようにそこまで思い悩むことでもないのかもしれない。

評価・レビュー

80点

不思議な魅力を持った作品だ。公開当時、深夜の映画館で観たのだが、「これは日本人にしか作れない映画であり、日本人しか理解できない映画だ」と強く思った映画だ。

この「日本人に合う」という部分は邦画の一つの強みでもある。

コメディという分野ではまだまだ邦画にはポテンシャルが残っている様に思う。

作品情報・キャスト・スタッフ

2011年製作/94分/ アメリカ

監督
大九明子

脚本
大九明子

主演
オーウェン・ウィルソン
レイチェル・マクアダムス
マリオン・コティヤール

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。