『ゴジラvsキングギドラ』ゴジラ映画が映し出す日本の経済発展

概要

『ゴジラvsキングギドラ』は1991年に公開された大森一樹監督、中川安奈主演の怪獣映画。

今作のゴジラから4代目ゴジラとなり、本作ではその誕生の経緯も描かれている。

あらすじ・ストーリー

感想・解説

ゴジラ映画は1954年から断続的に続く、日本で最も古いシリーズ映画の一つだろう。

そして作品ごとに社会的なものであったり、SFであったり、エンターテインメントであったり、コミカルなものからシリアスなものまで幅広いジャンルを横断していることもゴジラ映画の特徴だと言える。

だからこそ、ゴジラ映画はその時代ごとを鮮やかに切り取ってくることができたのだろう。

例えば『ゴジラ対ヘドラ』では当時社会問題となっていた公害を作品の大きなテーマとしている。同作はそのメッセージ性の高さもさることながら、極めて低予算でサイケデリックな作風でもあることからゴジラ映画の枠を超えて邦画の歴史に残るカルト映画にすらなっている。

今回紹介するのは『ゴジラvsキングギドラ』だが、キングギドラが初めて登場したのはに公開された『』だ。

同作で初登場したキングギドラは、X星人という宇宙人にコントロールされた怪獣と設定されている。

同作以降、ゴジラ映画の敵怪獣はキラアク星人など宇宙人にコントロールされている、もしくは宇宙人が作ったという設定が多くなる。

これらには1960年代の米ソによる宇宙開発競争とそれによる宇宙ブームの影響があるだろう。

このようにゴジラ映画はその時代を映し出す作品でもあったのだ。

では『ゴジラvsキングギドラ』が移したものは何か。それはバブル時代の日本だ。エミらの暮らす23世紀では日本が世界を支配しているという。

今の時代ではにわかに信じられない話だが、1985年に公開された『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のは当時を振り返って「日本が世界を支配すると思っていた」と語っている。

そんな当時の日本の驕りを叩きのめすようにゴジラは新宿の高層ビル街で暴れまわる。

『ゴジラvsキングギドラ』以降、ゴジラ映画は東宝のドル箱シリーズになっていくが、エンターテインメント色が強くなり、『ゴジラvsキングギドラ』が描いたような時代へのメッセージは希薄になっていく。そういった意味でも本作は貴重な作品だ。

評価・レビュー

74

時代を映すということには一長一短があるわけで、本作は上記に挙げたバブル期の日本という以外にも、当時のハリウッドの人気映画のチープなコピーも散見されるという意味では厳しい評価にせざるを得ない。

具体的には『ターミネーター2』のT-1000を意識したであろうアンドロイドや、戦時中のアメリカ軍の大佐の名前がスピルバーグ大佐であるなどがそうなのだが、あまりに安易過ぎて興ざめしてしまう。

総合点としてはこれくらいが妥当ではないか。

作品情報・キャスト・スタッフ

1953年製作/103分/日本

監督
大森一樹(本編)
川北紘一(特撮)

脚本
大森一樹

主演
中川安奈
豊原功補
小高恵美
原田貴和子
佐々木勝彦
チャック・ウィルソン
山村聡
小林昭二
上田耕一
リチャード・バーガー
ロバート・スコット・フィールド
西岡徳馬
土屋嘉男

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
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