『最後の恋のはじめ方』ウィル・スミス主演のおすすめ恋愛コメディ

概要

『最後の恋のはじめ方』は2005年に公開された 監督、ウィル・スミス主演の恋愛映画。

あらすじ・ストーリー

デートコンサルタントの仕事をしているアレックス・ヒッチンス(通称ヒッチ)は「やり方次第でどんな女性でも落とせる」をポリシーにしている。

そんな彼のもとに太った冴えない男!アルバートから恋の相談を受ける。彼の想い人は有名セレブの美女であるアレグラ・コール。

彼女の資産を管理する会社に務めていた事がきっかけで、彼女に恋心を抱いたのだという。

あまりに無茶な依頼だったが、アルバートの純粋な気持ちを知ったヒッチは依頼を引き受けることに。しかし、不器用なアルバートはヒッチの完璧なプランを壊してばかり。

一方、ヒッチ自身にも恋の予感が訪れていた。

感想・解説

恋する〇〇など、恋愛映画には同じようなタイトルの作品が並んでいて、それだけで辟易してしまう。

恋愛映画なのだからそれは恋もするでしょうけれど、なんていうか、これだけ「恋する」が氾濫してしまうと作品を観る前からどれも同じ作品に見えてしまうのです。

さて、今回紹介する『最後の恋のはじめ方』もまぁそういった類の邦題にされてしまった作品の一つ。

それでも今作を私が手に取ったのは「ウィル・スミスが恋愛映画に出ているのか!」という意外性だった。

ウィル・スミスはもともとラッパーとしてデビュー、1990年代に入ると俳優としての活動がメインになる。俳優としてのキャリアを見ると、1990年代はアクション映画への出演が多かった。『バッドボーイズ』、『インデペンデンス・デイ』、『メン・イン・ブラック』などだ。

2000年に公開された『アリ』の頃から徐々に演技派としてドラマ映画への出演が増えていった。とは言え、恋愛映画への出演は今作をおいてほぼないのではないだろうか。

ウィル・スミスといえば、最近ではクリス・ロックへの殴打事件が話題となった。興味深いのは欧米ではウィル・スミスの暴力を非難する声が大きいのに対して、日本ではクリス・ロックの行き過ぎたジョークを非難し、ウィル・スミスを庇う声が大きかったことだ。

これは日本では単純に暴力は絶対悪という価値観ではないからだろう。

もちろん肯定はできないものの、あの場は仕方ないだとか、言葉も十分に暴力になり得るという意見もあった。つまりはケース・バイ・ケースで判断しているというのが私達の価値観だろう。

それ以外にもウィル・スミス擁護の声が大きかったのは(こう言っては元も子もないが)やはり日本人の多くがウィル・スミスが好きというのはあったのではないか。

日本のバラエティ番組で見せる陽気で明るく底抜けにフレンドリーなキャラクターはいい意味でハリウッドスターらしくない親近感をお茶の間にさえ抱かせたと思う。

『謝罪の王様』で映画の核は物語と脚本だと持論を述べたが、『最後の恋のはじめ方』ではウィル・スミスの魅力も大きい。いわゆるロマンティック・コメディの作品なのだが、コメディ要素が非常に強く、ウィル・スミスの持ち味が最大限に発揮された作品なっている。

本作の原題は『Hitch』。正直なところ、邦題で損している気もする。

観て損はない、笑って楽しめるおすすめの作品だ。

評価・レビュー

86

今作を観ると、ウィル・スミスが優れたコメディアンの才能も持ち合わせていることがわかる。

アルバートを演じたケヴィン・ジェームズもコメディアンであり、二人の掛け合いもまた楽しい。

メイキングで監督のアンディ・テナントも述べているが、この2人が互いにコメディの演技を熟知しているからこそだろう。

個人的にはエンディングのガーデン・ウェディングのシーンがお気に入り。

※この映画を観て以来、自分が結婚式をするなら絶対にガーデンウェディングだと心に決めています。

というわけで、話は多少逸れてしまったが、誰もが楽しめる良くできたラブコメと思うのでこの点数にした。名作映画と呼ぶには気品が足りないが、肩肘張らないこういう作品もまた必要なものだ。

作品情報・キャスト・スタッフ

2005年製作/118分/アメリカ

監督
アンディ・テナント

脚本
ケヴィン・ビッシュ

主演
ウィル・スミス
エヴァ・メンデス
ケヴィン・ジェームズ
アンバー・ヴァレッタ
ジュリー・アン・エメリー

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。