概要
『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』は2020年に公開されたコリン・トレヴォロウ監督、クリス・プラット主演の恋愛映画。
『ジュラシック・パーク』シリーズとしては6作目にあたる。
本作ではアラン・グラント、エリー・サトラー、イアン・マルカムのオリジナルキャラクターの復活でも話題となった。
あらすじ・ストーリー
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』で恐竜たちが本土に解き放たれてから年後、人間と恐竜たちの共存は様々な事故や犠牲をもたらし、恐竜たちはその管理を民間企業であるバイオシン社に一任していた。
ある時、巨大化したイナゴが農場を襲い、農作物に壊滅的な被害が及ぶ。しかし、バイオシン社の種を使った品種だけは無事だった。植物学者のエリー・サトラー博士はバイオシン社の陰謀を探るため、旧友であるアラン・グラントを訪ね、共にバイオシン社に乗り込む。そこには二人と同じくジュラシック・パークの事件の当事者であるイアン・マルコム博士が働いていた。
一方、ジュラシック・ワールドの当事者であるオーウェンとクレアは思春期になった養子のメイジーの態度に手を焼いていた。そんな中、オーウェンがかつて世話していたヴェロキラプトルのブルーに子供が生まれたことが判明する。
しかし、バイオシン社は研究材料とするためにブルーの子供とメイジーを誘拐する。
メイジーとブルーの子供を取り戻すために、オーウェンとクレアもまたバイオシン社を目指すのだった。
感想・解説
『ジュラシック・パーク』、『ジュラシック・ワールド』両シリーズのメインキャストを集め、集大成のような位置づけで制作された作品だ(後に「完結編ではない」とのアナウンスもされているが)。
『ジュラシック・ワールド』前ニ作では、遺伝子操作され人為的な種として作られた恐竜が最大の脅威として描かれていた。
それは『ジュラシック・パーク』シリーズのメッセージの一つであった、人間の科学技術による生命倫理の軽視への批判がより直接的に表現されたと言っていいだろう。
だが、それは人為的に作られたモンスターであり、もはや恐竜である必要もないのではと思ったりもしていた(もちろんそれまでの『ジュラシック・パーク』でもデュロフォサウルスなどかなり脚色され、ほぼ架空の恐竜と言える例もあったりはしたのだが)。
そう考えると『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』は原点回帰とも言える作品に仕上がっている。ただ、今回遺伝子操作されたのは恐竜ではなくイナゴだ。
そのイナゴは農作物に対して甚大な被害をもたらすが、遺伝子操作されており、バイオキシン社が開発したした作物だけは食べないのだ。
いわゆる一つのバイオテロとも言えるが、現代に蘇った恐竜よりも遥かに現実的でリアルな恐怖だ(ちなみに『ジュラシック・パーク』シリーズで描かれていた、琥珀の中の蚊から恐竜のDNAを採取するという手法だが、実際はその時代の生物のDNAは時間が経ち過ぎているため、残らないのだという)。
驚異的なCG技術で世界の度肝を抜いた『ジュラシック・パーク』から30年以上が過ぎた。今はどれだけCGが発展しようと、そうそう世間の人々は驚かないだろう。それだけにより演出であったり、脚本や演技が重要になってくるのだと思う。
そうなると今作は非常にバランスの取れた作品ではないか。
これまでのスピルバーグの映画にあった家族愛や親子愛を描き続つ、パニック描写も森林の中、空中、氷の張る湖、街なかでの恐竜とのチェイスなど、様々なシチュエーションやカラーに富んでいる。前作の『ジュラシック・ワールド 炎の王国』がホラーテイストが強めの作品だとしたら、本作はスリリングなアドベンチャーと言えるかもしれない。もちろん、そんな冒険にふさわしいスケール感も申し分ない。
個人的には『ジュラシック・パーク』シリーズの集大成に恥じない作品だと思う。
評価・レビュー
90点
他のレビューを観ていると、本作の真の悪役が恐竜ではなく昆虫であることに不満の声もあるようだが、個人的にはそこは全く気にならなかった。むしろ一作目に通じる生命倫理や遺伝子操作の恐怖をよりリアルに見せてくれたように思う。
サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラムなど、『ジュラシック・パーク』のメインキャストの勢揃いもファンにはたまらないだろう。
ちなみに、夜のシーンを描くにはどうしても光源が必要になるが、今回の燃える●●を光源として演出したのには驚かされた。
作品情報・キャスト・スタッフ
2020年製作/147分/アメリカ
監督
コリン・トレヴォロウ
脚本
コリン・トレヴォロウ
エミリー・カーマイケル
主演
クリス・プラット
ブライス・ダラス・ハワード
イザベラ・サーモン
ローラ・ダーン
ジェフ・ゴールドブラム
サム・ニール
ママドゥ・アティエ
B・D・ウォン
オマール・シー
キャンベル・スコット