『マトリックス レザレクションズ』

概要

『マトリックス レザレクションズ』は2021年に公開されたラナ・ウォシャウスキー監督、キアヌ・リーブス主演のSFアクション映画。

『マトリックス』シリーズ4作目の映画となり、前作からは18年ぶりの作品となる。過去の3部作はリリー・ウォシャウスキーとともに「ウォシャウスキー兄弟(当時)」として共同監督していたが、今回はラナ・ウォシャウスキー単独での監督作品となっている。

あらすじ・ストーリー

ゲーム会社デウス・エクス・マキナのゲームクリエイターであるトーマス・アンダーソンは過去にゲームシリーズの『マトリックス』を世界的にヒットさせ、成功者となっていた。
しかしトーマスは『マトリックス』の世界を現実だと思い込み、ビルから飛ぼうとするなど精神的に不安定な状態が続いており、カウンセラーのセラピーと青い薬が欠かせなかった。

そんな中、『マトリックス』の新作を要請されたトーマスは再び精神が不安定な状態に。更にゲームキャラクターであるはずのモーフィアスまでトーマスの目の前に現れる。

幻覚と現実の間で戸惑うトーマスの前に、青い髪をした女性、バックスが現れ、トーマスは自分(ネオ)が再びトーマスとしてマトリックスに繋がれているという現実を知ることとなる。

感想・解説

18年ぶりの新作となった『マトリックス レザレクションズ』。
今作はラリー・ウォシャウォスキーが監督から外れ、ラナ・ウォシャウォスキーの単独監督作品となっている。
メタ的な要素を取り入れ、それまでの『マトリックス』シリーズをトーマス・アンダーソンが作ったもゲームのこととして処理して見せるのはシリーズの創造主であるラナ・ウォシャウォスキーにしかできなかっただろう。

ただ、映像革命として衝撃を与えた『マトリックス』と比べると、今作の映像は特段目を見張るようなものは見受けられない。通常のアクション映画であれば十分すぎる出来なのだが、これは『マトリックス』なのだ。
そこを期待した観客の目には『マトリックス レザレクションズ』はやや期待外れに写ってしまった部分は否めない。
事実、『マトリックス レザレクションズ』が公開されると、それまでの期待とは裏腹に興行収入は伸び悩んだ。また批評も賛否両論であり、映画の内容は議論を呼んだ。

だが、本作は幾重にも重なるテーマがある。今作を観終わると、この映画がトリニティの物語であり、続編でありながら新しい『マトリックス』の前日譚としても見ることができることに気がつくだろう。

『マトリックス レザレクションズ』は一見さんにも親切な映画ではない。過去三部作を観ておかないと間違いなくつまらない映画だ。アクションだけは楽しめるかもしれないが。
つまり、これまでの『マトリックス』シリーズのファンに向けて作られた作品なのだ。
ラナ・ウォシャウォスキーは『マトリックス』シリーズの続編をスタジオから再三要請されても断り続けていた。だが、両親の死によって打ちのめされた彼女の救いとなったのがネオとトリニティだった。彼らを復活させることが何よりのラナの救いになった。
『マトリックス レザレクションズ』はそういった意味では非常に個人的な作品だ。

主演のキアヌ・リーヴスは今作がラブストーリーであることに惹かれたという。

「パパとママへ 全ては愛から始まる」

エンドロールに流れるラナのそのメッセージが『マトリックス レザレクションズ』の全てだろう。

評価・レビュー

60点

レビューでも述べたように、『マトリックス レザレクションズ』は賛否両論がある作品だ。映像や特殊効果ではクリストファー・ノーランの『テネット』や『インセプション』などの映画の方が凄いだろう。
だが、他でもなくこれは『マトリックス』なのた。

作品情報・キャスト・スタッフ

2021年製作/148分/アメリカ

監督
ラナ・ウォシャウスキー

脚本
アレクサンダー・ヘモン
デイヴィッド・ミッチェル

主演
 キアヌ・リーブス
キャリー=アン・モス
ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世
ジェシカ・ヘンウィック
ジョナサン・グロフ
ニール・パトリック・ハリス
プリヤンカー・チョープラー・ジョナス
ジェイダ・ピンケット・スミス

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
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CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。