『プラン9・フロム・アウタースペース』エド・ウッドが全身全霊をかけたポンコツ映画

概要

『プラン9・フロム・アウタースペース』は1959年に公開されたエド・ウッド監督、グレゴリー・ウォルコット主演のコメディ映画。

あらすじ・ストーリー

感想・解説

『プラン9・フロム・アウタースペース』の名前を知ったのはいつだろうか?

史上最低の映画監督として有名なエド・ウッドの名前を知ると同時に本作も知ったように思う。

『プラン9・フロム・アウタースペース』がいかにひどい映画かということは様々なメディアで事細かに書いてあるだろうから、ここではそれについて述べる気はない。

だが、大方の酷評とは別に、映画としてはそこまで悪くないのではないかと私個人としては思う(もちろん良い映画でもないのだが)。なんて言えばいいのかわからないが、「意外と映画らしい映画だ!」と思ったのだ。ちゃんと映画になっていると言ってもいい。

宇宙人の搭乗するUFOのコクピットがコントのようなショボい出来等と言われることもあるが、それは日本の特撮映画だって似たようなものだった。それでも僕たちは熱中して映画を観ていたはずだ()。

また、死者が蘇り、生きている人間を襲う、襲われた人間もまた蘇り人を襲うというような、いわばゾンビものの作品だとも言えるだろう。

ジョージ・A・ロメロによる『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の公開が1968年であることを考えれば、ゾンビ映画としてむしろ先駆的な作品とも言えるのではないだろうか。

本作は赤狩りによって追放されたヴァンパイラが出演していたり、また名優であったベラ・ルゴシの遺作ともなった作品だ。

今作をより楽しみたければ、ティム・バートン監督の『エド・ウッド』を副読本として観てみるのがおすすめだ。『エド・ウッド』はエド・ウッドの「光」の部分を強調した喜劇調の映画だが、『プラン9・フロム・アウタースペース』にエド・ウッドが自らのキャリアとどれほどの情熱をかけていたかがわかるはずだ。

評価・レビュー

37点

映画としての期待値をマイナスまで下げてから観ると、意外と悪くないと思わせてくれる作品だ。

全編コントのような出来は、ある意味で流石はエド・ウッドだと思ってしまえるが、それでも「そんなものか」と思ってしまえば作品の世界に没入していけるはず。むしろ昔からドリフターズなどのコントを見慣れている日本人にはとっつきやすいかもしれない。

いかにつまらない映画でも、そこには製作者の情熱が込められている。そこも勘案して点数をつけてしまうのは、映画というものに対してフェアではないので、今回はこの点数にした。

だが、史上最低の映画監督であるエド・ウッドが本作にかけた情熱にもつい思いを馳せてしまうのだが。

作品情報・キャスト・スタッフ

1959年製作/79分/アメリカ

監督
エド・ウッド

脚本
エド・ウッド

主演
グレゴリー・ウォルコット
モナ・マッキノン
デューク・ムーア
トム・キーン
トー・ジョンソン
ベラ・ルゴシ

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。