『プラネット・テラー in グラインドハウス』カルト臭漂うB級ホラー映画

概要

『プラネット・テラー in グラインドハウス』は2007年に公開された ロバート・ロドリゲス監督、ローズ・マッゴーワン主演のホラーアクション映画。

昔のB級映画をオマージュした2本立て映画『グラインドハウス』の中の一本だ。

ちなみにもう一つの作品はクエンティン・タランティーノが監督した『デス・プルーフinグラインドハウス』。

クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスは親友同士としても知られている。

あらすじ・ストーリー

感想・解説

小学生の頃は浴びるほど映画を観ていたのに、大学の頃はほとんど映画を観なかった。再び観るようになったのは大人になってからだ。

大学の頃は、音楽を浴びるように聴いていたが、音楽で人生を学ぶことは難しい。どうしても音楽で描かれることはひと夏の恋模様であったり、クリスマスなどのイベント事であったり、5分間のポップソングの中で人生を歌い上げることは難しいことなのだろう。

その点、映画は人生を描ける。『フォレスト・ガンプ』や『ベンジャミン・バトン』など、まさに人生を描いた作品も多い。

社会人(どうもこの言葉が好きになれないが)になってから、それまで思いもしなかった人生に対する悩みや迷いが出てきた。それに対してなんらかのヒントを見つけようとたくさんの映画を観た。

もちろん、その中には名作と呼ばれるものだったり流行りのものもあったが、いわゆるカルト映画と呼ばれるものもこぞって観ていた。

ロッキー・ホラー・ショー』、『レポマン』、『ファントム・オブ・パラダイス』、『太陽を盗んだ男』、『ブレードランナー』、『プラン9・フロム・アウタースペース』『ファイト・クラブ』などだ。

しかし、そのうち映画そのものではなく、「カルト映画として紹介された作品をそのまま観ている」事が嫌になった。もともと天邪鬼な性分なので、「自分でこれから『カルト映画』になりそうなものを探そう!」という思いが芽生えたのだ。

今回紹介する『プラネット・テラーinグラインドハウス』もその一つだ。

ゾンビ化した怪物たちに美女が片脚マシンガンで戦うなんて、どっかの中学生男子の妄想をそのまま映画にしたみたいだ。

『SHE SAID/その名を暴け』の中でハーヴェイ・ワインスタインからの性被害を告白していたローズ・マッゴーワンだが、本作では対称的に義足代わりのマシンガンでゾンビたちを片っ端から殺しまくっている。

本作はグロテスクかつ、ゴア表現も恐れることなく取り入れている。ただ、『スターシップ・トゥルーパーズ』のようにそれはあくまでもギャグテイストの強いもので、観ていてこちらまで痛くなるようなシーンはほとんどない。

そんなキャラクターの面白さと、表現のストレートさは充分にカルト映画としての素質を備えているように思う。

評価・レビュー

76

カルト映画としての魅力満載な本作だが、その分一般ウケは難しいものがあるだろう。

キャストも大物俳優をメインには使わず、むしろ脇役としてブルース・ウィリスやマイケル・ビーンが登場するのも好きなポイントだ。

ちなみにサディストの軍人役として、ロバート・ロドリゲスの盟友であるクエンティン・タランティーノが登場している。

『謝罪の王様』の感想の中で映画の芯は脚本だと述べたが、しかし本作のような作品では、キャラクターや世界観が脚本の力を飛び越えて余りある魅力をこちらに叩きつけてくる。

それができた映画のみが、カルト映画として愛されていくのだろう。

作品情報・キャスト・スタッフ

2007年製作/105分/アメリカ

監督
ロバート・ロドリゲス

脚本
ロバート・ロドリゲス

主演
ローズ・マッゴーワン
ブルース・ウィリス
ジョシュ・ブローリン
フレディ・ロドリゲス
マーリー・シェルトン
マイケル・パークス
ジェフ・フェイヒー
マイケル・ビーン
トム・サヴィーニ
カルロス・ガラルドー

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。