『レディ・プレイヤー1』圧倒的な没入感で魅せるエンターテインメント作品

概要

『レディ・プレイヤー1』は2018年に公開されたSF映画。監督はスティーヴン・スピルバーグ、主演はダン・シェリダンが務めている。

あらすじ・ストーリー

舞台はいまから27年後の2045年。もはや地球は環境汚染や気候変動、政治不全が原因となって荒廃し、大半の人々がスラム街で暮らさざるを得ない状況に陥っていた。
彼らは荒廃した世界からの逃避として「OASIS(オアシス)」と呼ばれる仮想現実の世界にのめりこんでいた。

OASISはVR(ヴァーチャル・リアリティ)世界ですべての夢が実現する仮想世界ではありながらもゴーグル1つで想像したことがすべて現実になる、いわば理想郷でもあった。
17歳のウェイド・ワッツも「 パーシヴァル」というアバターになって「OASIS」に入り浸っていた一人だった。彼が取り組んでいたのはアノラック・ゲーム。

アノラック・ゲームとは、「OASIS」の創始者、ジェームズ・ハリデーが仕組んだ遺言のゲーム。遺言は「全世界に告ぐ。オアシスに眠る3つの謎を解いた者に全財産56兆円と、この世界のすべてを授けよう。」という者だった。

ゲームの参加者はハリデーがオアシス内に隠したとされるイースターエッグを必死に探す。ウェイドは「OASIS」で出会った仲間、そして謎めいた少女アルテミスとともにアノラック・ゲームに挑む。

そこへオアシスの管理権によって世界支配を企む巨大企業、IOI(イノベーティブ・オンライン・インダストリーズ)社も加わり、アノラック・ゲームは現実世界をも巻き込んだ闘争へ発展していく。

感想・解説

スピルバーグは本当に器用な監督だと思う。『シンドラーのリスト』や『アミスタッド』のような社会派の作品からエンターテインメント溢れる作品までそのどれもが非常に高いレベルで完成されているからだ。

特に『レディ・プレイヤー1』はエンターテインメントの方に特化した作品だといえる。

スピルバーグは1992年に公開された『ジュラシック・パーク』でCGの可能性を世界に提示して見せた。

1999年に公開された『マトリックス』(ウォシャウォスキー監督)は「映像革命」と呼ばれたVFXが話題になったが、それ以前の視覚効果のエポック・メイキング的な作品と言えば間違いなく『ジュラシック・パーク』だろう。

そして、今作『レディ・プレイヤー1』は更に進化した映像技術を見せてくれている。それは没入感だ。

作品自体は80年代のカルチャーを広くオマージュしている。

ヴァン・ヘイレンの『ジャンプ』が流れる冒頭に始まり、『AKIRA』のバイクや『シャイニング』の大々的なフィーチャーまでその例は枚挙にいとまがない。

原作はの『ゲーム・ウォーズ』。

だが、映画の芯にあるものは何も変わっていない。

スピルバーグの映画は両親が離婚した子供に向けられたものだ。それは『ジュラシック・パーク』や『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』、自身の自伝的作品である『フェイブルマンズ』に顕著だが、本作もその一つだと思う。

評価・レビュー

93点

作品情報・スタッフ・キャスト

2018年製作/140分/アメリカ

監督
スティーヴン・スピルバーグ

脚本
スティーヴン・スピルバーグ

主演
タイ・シェリダン
オリヴィア・クック
ベン・メンデルソーン
T・J・ミラー
サイモン・ペッグ
マーク・ライランス

>CINEMA OVERDRIVE

CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。