『シークレット ウインドウ』ジョニー・デップのファッションで映画を楽しむ

概要

『シークレット・ウィンドウ』は2004年に公開されたデヴィッド・コープ監督、ジョニー・デップ主演のサスペンス映画。原作はスティーヴン・キングの『秘密の窓、秘密の庭』。

あらすじ・ストーリー

小説家の

感想・解説

映画評論家の故・淀川長治氏はどんなに下らない映画であっても必ず良いところを見つけて褒めていたという。

だとすれば、果たして『シークレット・ウィンドウ』の良い点とはどこになるだろうか?

本作の監督はデヴィッド・コープ。

デヴィッド・コープと言えば、『ジュラシック・パーク』や『』など多くの名作の脚本を手掛けた名脚本家だ。

今作『シークレット・ウィンドウ』はそんなデヴィッド・コープの初監督作品。

私は映画について、脚本の面白さがそのまま映画の面白さにも直結すると考えているのだが、この映画を観た感想として、演出次第ではこれほどチープになってしまうのかと思った。

低予算なのは仕方ないが、それをB級に見せてしまうのはセンスの問題ではないだろうか。

そのために、残念なことに観ている人にはこの映画のオチが予想できてしまう人も少なくないだろう。

言っておくが、俳優陣に問題があるわけではない。主演のジョニー・デップをはじめ、ジョン・タトゥーロ、マリア・ベロなど実力も備えた俳優が競演している。

だが、それらの素材をいまいち活かしきれていない。ジョン・タトゥーロは存在や雰囲気が現実離れしているように見えてしまっていて、それだけでもオチが予想しやすくなる。このような作風の作品において、結末を予想されるほど興ざめとなってしまうこともないだろう。

脚本とは何か、今一度考えてしまう。どんなにいい脚本があっても、それを良い映画として仕上げるのは全く別の才能が必要なのだ。

監督自身のイマジネーションや要求するレベルが低いと、それは映画のクオリティにも直結してくるだろう。

『ロボコップ』や『バッドボーイズ』の当初の脚本は制作スタッフからも酷評されたが、それでも今なお愛される人気シリーズへと成長し、大きな成功を収めた。それは監督の個性が遺憾なく発揮されたからだ。ポール・ヴァーホーヴェンの表現、マイケル・ベイのスタイリッシュさ。それが映像として脚本をさらなる高みへ導いたように思う。

となると、『シークレット・ウィンドウ』にはやや厳しい目を向けざるを得ない。

だが、今作でのジョニー・デップのファッションだけは見る価値がある。

今作でのジョニー・デップは彼自身の普段の私服とあまり変わらないようなファッションだからだ。変人・奇人やかっちりした枠の役を演じることの多いジョニー・デップだが、今作では割とリラックスした雰囲気を纏っている。

ちなみに今作でジョニー・デップがかけているメガネはジョニー・デップ自身の私物とのこと。

評価・レビュー

43

やはりデヴィッド・コープにはその脚本の才能ほど映画監督の才能はなかったと言える。今作と同じジョニー・デップ主演のコメディ『チャーリー・モルデカイと華麗なる名画の秘密』も興行的・批評的に失敗している。

作品情報・キャスト・スタッフ

2004年製作/96分/アメリカ

監督
デヴィッド・コープ

脚本
デヴィッド・コープ

出演
ジョニー・デップ
ジョン・タトゥーロ
マリア・ベロ
ティモシー・ハットン
チャールズ・S・ダットン
ジョン・ダン・ヒル
ジョーン・ヘンニー
レン・キャリオー
エリザベス・マーロー
マット・ホランド
ブラスター・ブラナ
ジリアン・フェラビー
リチャード・ジャットラス

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。