概要
『ターミネーター2』は1991年に公開されたジェームズ・キャメロンの監督アーノルド・シュワルツェネッガー主演のSFアクション映画。1984年に公開された『ターミネーター』の続編である。
あらすじ・ストーリー
前作から10年後。サラ・コナーはサイバーダイン社への爆破未遂事件で精神病院に入院させられ、サラの子供であり将来人類の救世主となるジョン・コナーは養父母のもとですさんだ生活を送っていた。
母親であるサラの語っていた未来の話を与太話と思っていたジョンだが、仲間と共に訪れたゲームセンターで警察官から銃撃を受ける。
間一髪でジョンを守ったのはかつてサラを殺そうと未来からやって来たTー800と呼ばれるターミネーターだった。
警察官の正体はTー1000と呼ばれる液体金属でできた最新型のターミネーターであり、Tー800はジョンにT-1000の破壊は不可能であること、またT-1000は自在に姿を変えることができ、養父母に変装してジョンの帰りを待っているはずだと伝える。
ジョンは養父母に危機が迫っていることを伝えようとするが、すでに二人ともTー1000に殺されていた。
Tー1000の次のターゲットはサラだった。
母を救うために病院に向かおうとするジョン。だが、Tー800はジョンを守るという指名のためにその提案に躊躇する。
しかし、Tー800はジョンの命令には絶対に服従することをプログラミングされていた。ジョンはサラの救出をTー800に「命令」し、二人はサラのいる州立病院に向かう。
だがそこにもTー1000が忍び寄ってきていた。
感想・解説
いわゆるB級映画と呼ばれる低予算で作られた『ターミネーター』だが、大ヒットとなり続編が作られることになった。『ターミネーター』は640万ドルの予算だったが、『ターミネーター2』は1億ドルの制作費。およそ15倍である。
『ターミネーター』の頃からジェームズ・キャメロン監督には「少年とターミネーター」という構想があったようだ。
『ターミネーター2』ではジョン・コナーとT-800が擬似的な親子のような関係を作っていく。
前作では悪役だったT-800のポジション変更にはアーノルド・シュワルツェネッガーの人気の上昇と当時の国際情勢の変化が反映されている。『ターミネーター』公開当時はソ連がまた存在していた。『ターミネーター』の中で語られる審判の日とはソ連がはじめて核実験に成功した日でもある。しかし『ターミネーター2』制作時にソ連は崩壊している。
それまで技術力は武力と同じ意味を持っていた。ソ連とアメリカの宇宙開発競争がその好例だろう。だが、雪解けの時期を経て技術のあり方も改めて模索されるようになったのではないか。
時代の流れがターミネーターの意味を大きく変えた。圧倒的な脅威から、テクノロジーをどう活用していくかへと。
ラストシーン、自らを消滅させようとするをジョンは泣いて引き留める。
T-800はジョンの涙を見て「人がなぜ泣くかわかった」と語る。殺人マシンも人間の尊厳を理解できた瞬間だ。
また、映画を見ている私たちもクライマックスになると、T-800をただのターミネーターとは思えなくなってくる。
私たちは違いを越えてお互いを思いやれるはずだ。そこにサラは未来への希望を見出だす。
『ターミネーター』シリーズを通して『ターミネーター2』を越える作品を生み出すのは難しいだろう。
いつの時代もかがやく名作映画のひとつであることは間違いない。
評価・レビュー
98点
前作『ターミネーター』の頃からジェームズ・キャメロンは「少年とターミネーター」の話を考えていたという。前作ではサラ・コナーが救世主の母親として成長する話だったが、今作で成長するのは殺人マシンであるターミネーター、T-800だ。
そこにはアクション映画の定型である、強敵を倒すカタルシスはもちろん、生命の価値や親子の情感にまで踏み込んだからこその感動がある。
ジェームズ・キャメロンの最高傑作だと言い切っていい作品だ。
作品情報・キャスト・スタッフ
1991年製作/137分/アメリカ
監督
ジェームズ・キャメロン
脚本
ジェームズ・キャメロン
ウィリアム・ウィッシャー
主演
アーノルド・シュワルツェネッガー
リンダ・ハミルトン
エドワード・ファーロング
ロバート・パトリック