『ターミネーター』キャメロンの悪夢から生まれた、SF映画の名作

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概要

『ターミネーター』は1984年に公開されたジェームズ・キャメロン監督のSFアクション映画。主演はアーノルド・シュワルツェネッガーが務めている。

あらすじ・ストーリー

ある日、サラ・コナーという名前の女性ばかり殺害される事件が起きる。でウェイトレスをしている女子大生のサラ・コナーは街中で細身の不振な男に付きまとわれているのを感じ、クラブに逃げ込む。
逃げ込んだクラブで警察署に助けを求めるが、その直後、屈強な男が人混みを掻き分け、サラの眼前に姿を表す。
サラが銃撃されようかとする瞬間に屈強な男は銃撃される。
辛うじて殺されるのを免れたサラ。彼女を守ったのは街中でずっと彼女をつけていた細身の男だった。
彼の名はカイル・リース。カイルはサラに未来では「審判の日」と呼ばれる機械による核攻撃後、機械と人類が存亡をかけて戦争を繰り広げていること、そして劣勢だった人類をある男が勝利目前まで導いてくれたことを語る。そしてその救世主の名はジョン・コナー。サラのまだ見ぬ息子であることを告げる。
劣勢に立たされた機械軍は殺人マシンであるターミネーターを過去へ送りジョンの母親であるサラ・コナーを抹殺しようとする。それが先ほどの屈強な男だった。モデル名はTー800。生体細胞の下は機械なので銃では倒せない。
人類側もサラを守るために兵士を過去へ送り込む。それがカイル・リースだった。
最初はカイルの話を信じようとはしないサラだったが、度重なるTー800の襲撃から彼女を守り抜こうとするカイルの姿にサラは徐々にカイルの話を信じるようになる。

感想・解説

『スター・ウォーズ』に衝撃を受け、ハリウッド入りを目指したジェームズ・キャメロンだが、そのキャリアの始まりは決して華々しいものではなかった。

初監督作品の『殺人魚フライング・キラー』はの後任として監督を引き継いだのだが、5日目にプロデューサーから監督を解雇される。キャメロンは監督のクレジットから自身の名前を外すように頼むが、それも叶わず初監督作品は苦い思い出になっている(今でもキャメロンの前で『殺人魚フライング・キラー』の話題はNGだという説もある)。

この経験と興行的にも叩かれたことでキャメロンは殺人ロボットに追われる悪夢を見るようになる。

この夢こそが『ターミネーター』の出発点になった。

最も成功したB級映画のひとつに数えられる『ターミネーター』だが、個人的には『ターミネーター』が低予算映画だとはまったく気づかなかった。

金属の骨格を生体細胞で覆うという設定の斬新さ、このアイデアは今でも凄いと思う。斬新でありつつも、従来の対ロボット映画を作るよりも制作費も安くつく。

低予算映画ならではのエピソードとして、タンクローリーが爆発したあと、T800が骨格だけになるシーン以降は撮影されない可能性もあった。

だが、その危機をキャメロンはT-800が足を怪我したことにして、ストップモーションのレートを落としても不自然に見えないというアイデアを思いつくことで乗り切る。

もちろん、その後の工場での最後の戦いが今作をSF映画史に残る名作に押し上げているのは周知の事実だ。

評価・レビュー

98点

SF映画の歴史に残る傑作だと思う。『エイリアン』もそうだが、潤沢な予算がなくても、映画を素晴らしいものにするのは、優れたアイデアと作り手の情熱なのだと思わせてくれる作品だ。

『ターミネーター』はストーリーとしてはシンプルだが、このエモーショナルさはジェームズ・キャメロン以外の誰が監督を務めても再現できなかった。

そういった意味でも奇跡のような作品と呼べるのではないだろうか。

作品情報・キャスト・スタッフ

1984年製作/108分/アメリカ

監督
ジェームズ・キャメロン

脚本
ジェームズ・キャメロン
ゲイル・アン・ハード

主演
アーノルド・シュワルツェネッガー
マイケル・ビーン
リンダ・ハミルトン

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