『リディック』つまらないのになぜか観てしまう怪作

created by Rinker
アミューズソフト

概要

『リディック』は2005年に公開されたデヴィッド・監督、ヴィン・ディーゼル主演のSFアクション映画。

2000年に公開された『ピッチブラック』の続編となる。

また2013年には本作の続編となる『リディック ギャラクシーバトル』が公開されている。

あらすじ・ストーリー

『ピッチブラック』から数年後、極悪犯罪者のリディックはイマムとジャックを庇うために、氷の惑星で身を潜めていたが、何者かの差し金で賞金稼ぎの襲撃を受ける。圧倒的な戦闘能力で彼らを壊滅させたリディックは賞金稼ぎの依頼人に会うため、彼らの宇宙船を強奪し、元々の目的地であったヘリオン第一惑星へ飛ぶ。

その頃、宇宙ではロード・マーシャルという男を頂点とするネクロモンガーという組織が武力によって次々に惑星を侵略し、その支配下に置いていた。

実はリディックに賞金をかけていたのはヘリオン第一惑星で暮らすイマムだった。彼はネクロモンガーに対抗できるのはリディックだけと考え、わざとリディックに賞金をかけて探し出させようとしていたのだ。

そんな中、ヘリオン第一惑星にもネクロモンガーの大軍が押し寄せている。イマムは彼らに撃たれ命を落とす。リディックはネクロモンガーからの逃亡中、再び賞金首に捕まり、刑務所へ移送される。

刑務所でリディックが見たのは「キーラ」と名前を変えたジャックの姿だった。

感想・解説

個人的には思い入れのある作品だが、取り立てて面白いとも思わない。

だが、なぜか時折観たくなってしまう、そんな作品だ。

『リディック』は確か映画館で観たのが最初だと思う。ネットで当時の公開日を確認すると6月だった。

夏休みや冬休みはいわゆる大作が目白押しで公開される時期だが、『リディック』は少しタイミングが早かったようだ。当時のテレビでおすぎが公開中の映画にコメントしていたのだが、その中で最も絶賛していたのが『リディック』だった。

たしかに、オープニングのシーンは抜群にカッコいい。リディックの超人的な身体能力やその無敵っぷりも見ていて爽快なのだが、ファンタジックなSF映画にありがちな下らなさがどうにも気にかかってしまう。

例えば、ネクロモンガーの衣装のセンスや全体主義的な統治を見せたいのはわかるのだが、それが統治者の巨大な像を置くなどいかにもステレオタイプな描写で醒めてしまうのだ。

役者の演技にしてもジュディ・ヂンチは流石に貫禄を見せてくれるが、他の脇を固める役者の演技力には首を傾げざるを得ない。やはりステレオタイプ的というか、大げさな演技なのだ。

前作の『ピッチ・ブラック』は低予算でありながらも光るところのあるホラーサスペンスであったが、大作映画となった今回の続編は、『リディック』シリーズの知名度とスケールを大きく向上させることには成功したものの、内容まで大味になっているように思えてならない。

評価・レビュー

57

それでも本作には得難い魅力がある。それがリディックのキャラクターだ。弱さをほとんど見せないキャラクターとしてはスティーヴン・セガール主演の映画の沈黙シリーズが挙げられるが、私が本作に感じている魅力も同じ類のものだと思う。

なんせ、つまらないなぁと思いながらも何度もDVDレンタルしてしまい、ついには「こんなに何度も借りるなら買ってしまったほうが早いのでは?」と思い、DVDを買ってしまった過去があるからだ(ちなみにまだサブスクがメジャーになる以前の頃の話)。

余談だが、サブスクに複数契約していながらも、個人的には未だにDVDを買うことも多い。その理由は特典映像やコメンタリーがあるからなのだが、『リディック』の特典映像では異常にテンションが高いヴィン・ディーゼルのインタビューが本編以上に面白いものとなっているので、こちらもあわせておすすめだ。

作品情報・キャスト・スタッフ

2004年製作/120分/アメリカ

監督
デヴィッド・トゥーヒー

脚本
デヴィッド・トゥーヒー

主演
ヴィン・ディーゼル
ジュディ・デンチ
タンディ・ニュートン

created by Rinker
アミューズソフト
>CINEMA OVERDRIVE

CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。