『ザ・ロック』

概要

『ザ・ロック』は1996年に公開されたマイケル・べイ監督、ショーン・コネリー主演のアクション映画。

あらすじ・ストーリー

かつて海兵隊で特殊部隊を率いてきたハメル准将は過去の非合法作戦で政府に見捨てられ部下を失った経験があった。その上、非合法作戦でもあったので政府は部下の家族に対して何の補償も行わなかった。

政府に強い憤りを覚えたハメルは、海兵隊の部下とともにアルカトラズに観光客を人質にして立てこもった。ハメルらのもとにはVXガスを積んだミサイルがあり、要求が通らない場合はサンフランシスコへ向けてミサイルを発射するという。

FBI長官のウォマックは、ネイビーシールズに加え、化学兵器のスペシャリストであるFBI特別捜査官のスタンリー・グッドスピードと、かつてアルカトラズから唯一脱獄に成功し、現在では連邦政府に幽閉されている元MI6のスパイ、ジョン・メイソンの二人もアルカトラズの潜入作戦に参加させる。しかし、メイスンはウォマックを信用しておらず、

感想・解説

個人的にはマイケル・べイの最高傑作は『ザ・ロック』ではないかと思う。

正直に言えば、マイケル・ベイの持ち味はそのアクション描写であり(スティーヴン・スピルバーグも「クルマを撮らせたら彼の右に出るものはいない」とその才能を絶賛している)、間違っても細かな演出や正確な考証、深い心理描写などではないと個人的には感じている。

だからこそ、エンターテインメントに振り切った『バッドボーイズ』はシリーズ化されるヒット作になった一方で、科学考証に間違いの多い『アルマゲドン』や歴史考証に間違いが多い『パール・ハーバー』が酷評されたのも理解できる。

だが、この『ザ・ロック』は(VXガスなどの効果に誇張はありつつも)正統派のアクション映画に仕上がっている。

また、ショーン・コネリーがジェームス・ボンドを彷彿とさせる役柄であるのも映画ファンならニヤリとしてしまうはずだ。

しかし、最大の魅力はそこではない。エド・ハリス演じるハメル准将こそ、『ザ・ロック』の最大の魅力だ。

ハメルは自分の部下が非合法作戦に従事した際に、政府から見捨てられ、その上戦士した部下に何の補償も与えられなかったことに憤り、人質を取ってアルカトラズを占拠する。悪役といえば悪役なのだが、ハメルの側にもしっかりした正義がある。

単純な善悪の物語ではないところが『ザ・ロック』の魅力なのだ。

個人的にはハメルがショーン・コネリー演じる元イギリス情報局秘密情報部のメイスンを尋問するシーンが好きだ。

互いに国家に命を懸けてきたからこその共感と敬意が会話に滲み出ている。

ちなみにメイスンが元イギリス情報局秘密情報部という設定はショーン・コネリー自身の発案という。

年に公開された『ネバーセイ・ネバーアゲイン』で一度だけジェームス・ボンドに復帰したショーン・コネリーだが、やはりボンド役には特別な愛着があったということだろうか。

評価・レビュー

94点

感想の部分ではマイケル・ベイについて色々書いてしまった。しかしながら、幼い頃初めて夢中になった映画監督は実はマイケル・ベイである。

まぁ、アクションのカット割りが細か過ぎて登場人物が何をやっているのかわかりにくいというのはある(未だに『バッドボーイズ2バッド』のアクションの中にはよく理解できないものがある)。

しかし、『アルマゲドン』で観られる彩度の高いヒビッドな映像と迫力ある演出に小学生だった私は夢中になったのだった。

その後、マイケル・ベイの作品を観ていく中で文句なしに面白いと感じたのが『ザ・ロック』なのだ。今作は未だにエンターテインメント系の映画を評価する上で私の中の一つの基準になっている。

ストーリーがシンプルかつ面白く、また悪役にも共感できる「正しさ」があるなどの人物設定も素晴らしいと思う。

作品情報・キャスト・スタッフ

1996年製作/135分/アメリカ

監督
マイケル・ベイ

脚本
デヴィッド・ウェイスバーグ
ダグラス・S・クック
マーク・ロスナー

主演
ショーン・コネリー
ニコラス・ケイジ
エド・ハリス
マイケル・ビーン
ウィリアム・フォーサイス
デヴィッド・モース
ジョン・スペンサー

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。