『トゥルーライズ』ジェームズ・キャメロン屈指のエンターテインメント大作

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概要

『トゥルーライズ』は1994年に公開されたジェームズ・キャメロン監督、アーノルド・シュワルツェネッガー主演のコメディアクション映画。

あらすじ・ストーリー

妻と娘に囲まれ、幸せな日常を送るハリー。彼は表向きはコンピューター会社のセールスマンとして働いているが、彼の本当の顔は政府の直轄組織であるオメガの敏腕スパイだった。

しかし、妻のヘレンはハリーの本当の顔を知らず、内心は結婚生活に飽きてきており、スパイを名乗る見知らぬ男と親密になってきていた。

ハリーは「真紅のジハード」と呼ばれるテロ組織を追っていたが、その最中、ヘレンが浮気していることを知ってしまう。

意気消沈するハリーは組織の力を使ってヘレンの浮気相手を突き止め、彼女が刺激を欲しがっていることを知る。ハリーは自分だと気づかれぬようにしてヘレンを尋問し、彼女が本心ではまだハリーを愛していることを知る。

ハリーは正体を隠したまま、ヘレンに刺激を与えるために遊びでスパイの仕事を依頼する。

その最中、二人がいる部屋を真紅のジハードの部隊が強襲し、ハリーとヘレンは彼らのアジトへ拉致される。

そこでヘレンは初めてハリーの本当の正体を知るのだった。

感想・解説

面白い映画を作る監督とヒットメーカーと呼ばれる監督。この二つは同じようで少し違うのではないか。

ジェームズ・キャメロンの名前を見るたびにそう思う。

今現在、映画の歴代最高の興行収入は『アバター』、『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』とジェームズ・キャメロンの監督作がトップ2を独占している。

そういう意味では確かに否定しようないヒットメーカーである。むしろヒットメーカーでないなどとは口が裂けても言えまい。

だが、『アバター』面白いか?と言われると個人的には疑問符だ。確かにつまらなくはないのだが、面白いつまらないの前にある種の説教臭さが鼻につくのだ。

言ってしまえば、アメリカが民主主義を無理やりイラクに押し付け、彼らの伝統を奪い去ってしまったことへの自己批判とも受け取れる内容だった。いや、もちろん娯楽作品であっても社会的なメッセージがあるのは悪いことではない。

ただ、ちょっと露骨過ぎるように感じた。

その点、『トゥルーライズ』まではジェームズ・キャメロンは本当に面白い映画を作っていたと思う。

『ターミネーター』、『ターミネーター2』、『エイリアン2』いずれもエンターテインメント作品としては名作と言える映画ばかりだ。

キャメロンの作品の中でも『トゥルーライズ』はかなりコメディに寄っている。

元々はフランスの映画で、そのリメイクをシュワルツェネッガーがジェームズ・キャメロンに打診して出来上がったのが『トゥルーライズ』だと言う。

そのフランスの映画は未見だが、しかし敏腕スパイが妻の不倫疑惑に右往左往したり、不倫相手を組織ぐるみで追い詰めたりするのが楽しい。シュワルツェネッガーはアクション俳優としてのイメージが強いが、『ジュニア』や『ジングル・オール・ザ・ウェイ』などコメディアンとしても定評のある俳優だ(その2つの共通点はあまり演技力が要らないということでもあるが)。

今作ではそんなシュワルツェネッガーのアクションとコメディ、その両面が惜しげもなく詰め込まれている。

評価・レビュー

84

エンターテインメント映画としてはかなりの高水準にあることは間違いない。

その一方でいくばくかの問題をはらんだ映画でもある。本作は中東系のテロリストをかなりコミカルに描いている点で、キャメロンは「9.11後の世界ではテロリストをコミカルに描くことはできない」と言い、続編の制作には消極的な姿勢を見せている。

そう考えると、本作のシュワルツェネッガーの最強ぶりも含めて、世界一の強国だった、9,11以前のアメリカの姿をこの映画は映し出しているようにも思う。

作品情報・キャスト・スタッフ

1994年製作/141分/アメリカ

監督
ジェームズ・キャメロン

脚本
ジェームズ・キャメロン

主演
アーノルド・シュワルツェネッガー
ジェイミー・リー・カーティス
トム・アーノルド
ビル・パクストン
ティア・カレル
アート・マリック

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