『ワールド・ウォーZ』最高に贅沢なゾンビ映画

概要

『ワールド・ウォーZ』は2013年に公開されたマーク・フォースター監督、ブラッド・ピット演のホラーアクション映画。

あらすじ・ストーリー

感想・解説

予告編はブラッド・ピットが何かから逃げている様子しかわからなかったが、いざ蓋を開けてみるとゾンビ映画だった。

まさかブラッド・ピットがゾンビ映画に出るとは思いもよらずびっくりした覚えがある。

国連職員という設定もあって世界中を飛び回るブラッド・ピットだが、中でもイスラエルの場面は本作の一番の見所だと言える。数十メートルはあろうかという防壁をゾンビが山のように連なって押し寄せてくるシーンはゾンビ映画ファンには一見の価値はあるだろう。

本作は世界で大ヒットしたゾンビ映画だが、ゾンビの動きはよくイメージされるような愚鈍なものではなく俊敏だ。しかもゾンビに噛まれてから自らもゾンビ化するまでわずか12秒しかない。

この設定はホラー映画というよりも、むしろパニック映画に近い。

ゾンビが人類を脅かす災害として描かれるのだ。まるでそれは病原菌のようだ。コロナ禍の時期を思い出す。そう考えると、『ワールド・ウォーZ』のオチは納得できる。病原菌を防ぐにはそれしかないからだ。

ちなみに、当初はモスクワのクレムリンでゾンビの大群と戦うというクライマックスだったらしいが、予算の都合で今のラストになったらしい。

評価・レビュー

79

ゾンビ映画には哀しみがある。愛するものがゾンビになってしまう哀しみだ。

『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、『ゾンビ』、『バイオハザード』、『ショーン・オブ・ザ・デッド』など、数多のゾンビ映画でそれは描かれているが、『ワールド・ウォーZ』にはそれがない。

まるでテレビゲームをプレイしているかのような感覚の映画で、ゾンビがただのモンスターと化しているのだ。『ワールド・ウォーZ』はゾンビ映画として最大級のヒットを飛ばした作品だが、ここまでエンターテインメントに徹したゾンビ映画ならではの結果とも言える。

作品情報・キャスト・スタッフ

2013年製作/113分/アメリカ・イギリス

監督
マーク・フォースター

脚本
マシュー・マイケル・カーナハン
ドリュー・ゴダード
デイモン・リンデロフ

主演
ブラッド・ピット
ミレイユ・イーノス
ダニエラ・ケルテス
ジェームズ・バッジ・デール
ファナ・モコエナ

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CINEMA OVERDRIVE

ロックミュージックに欠かせないエフェクター、OVERDRIVE。
それはクリーンな音に歪みを与え、それまでの音楽に新しい可能性をもたらした。
CINEMA OVERDRIVEもまた「個人的な評価」という歪みによって、映画の捉え方・楽しみ方を広げていきたい。