今回は2010年代に公開されたおすすめ映画を紹介していきます。
2010年代と言えば、個人的にはちょうど社会人になったタイミングでもあるのですが、そういった意味で言えばここに紹介した作品はどれも大人になってからでも楽しめる作品だとも言えるかもしれません。
それでは、2010年代に公開されたおすすめ映画を紹介していきます!
ジョーカー
『ジョーカー』は2018年に公開されたスーパーヒーロー映画。監督はトッド・フィリップス、主演はホアキン・フェニックスが務めています。『ダークナイト』でヒース・レジャーが演じたジョーカーを超えるのは正直難しいだろうと予想していたのですが、これはまさに衝撃を受けました。
『ダークナイト』が2008年のアメリカを象徴した作品なのは間違いないのですが、それはあくまで国家としてのアメリカであり、アメリカ政府と言い換えてもいいものでした。
しかし、『ジョーカー』が示したのは政府の影で苦しい生活をしている民衆たちなのです。そこにある圧倒的なリアリティとジョーカーに共感さえ覚えてしまうようなストーリーで言いようのない迫力を持った作品でした。
マーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』とも比較されることの多い作品ですが、一般市民からの視点で時代を痛烈に撃ち抜いた作品ということでの共通点もあるのでしょう。
インターステラー
『インターステラー』は2015年に公開されたSF映画です。監督はクリストファー・ノーラン、主演はマシュー・マコノヒーが務めています。異常気象によってだんだん人間が住めない環境へ近づきつつある近未来の地球。マシュー・マコノヒー演じる元宇宙飛行士のクーパーは娘の反対を押し切り、「必ず帰る」と約束してある計画に参加します。それは人類の移住に適した星を見つけること。
クリストファー・ノーランの映画は時間軸を巧みにコントロールした作品が多いのですが、本作もその一つ。ベースに家族愛を持ってくることで、普遍的なヒューマニズムも持ち合わせたSF映画となりました。2000年代以降の最高のSF映画の一つではないでしょうか。
シェイプ・オブ・ウォーター
ギレルモ・デル・トロが幼い頃より考えていた「『大アマゾンの半魚人』の幸せな結末」が大元になった作品です。
1954年に公開された『大アマゾンの半魚人』は『キングコング』の半魚人版ともいうべき内容で、半魚人は彼らを危険視する人間たちによって殺されます。
しかし、幼いギレルモ・デル・トロはその結末に納得がいかず、ヒロインの女性と半魚人が幸せに暮らすイラストを描いていたといいます。
『シェイプ・オブ・ウォーター』の舞台は1960年代のアメリカ。そこは性差別や人種差別など、まだ様々な差別が残っていた時代です。そこに立ち上がるのは黒人であったり、ゲイの男性であったり、いわゆるマイノリティの人々でした。
計らずもギレルモ・デル・トロの構想した物語は今の社会のニーズとも合致していたのだと思います。『シェイプ・オブ・ウォーター』は2017年度のアカデミー賞で作品賞を受賞しています。
ムーンライト
『ムーンライト』は2016年に公開されたバリー・ジェンキンス監督、トレヴァンテ・ローズ主演のドラマ映画です。原作となったのはタレル・アルヴィン・マクレイニーの戯曲である『月明かりの夜、』。
本作はシャロンという男性の少年期、青年期、そして大人になった姿をそれぞれ描いています。
本作のテーマは自分らしさ。黒人でありかつゲイでもある。そんなシャロンが自身の人生に知らぬ間にかけていた呪縛から解き放たれるまでを描いています。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
物語の舞台となるのは1969年のハリウッド。ハリウッドでそれまで西部劇スタートして活躍してきたリック・ダルトンは時代の波に乗れずに落ち目になりかけていました。
そんなリックにいよいよイタリアの西部劇映画への出演依頼が届くと、それを受けるかどうかで悩みます(当時はイタリアの西部劇映画、いわゆるマカロニ・ウエスタンはハリウッドのものとは一枚格落ちのように捉えられていました)。
一方、リックの家の横にはハリウッドの寵児となりつつあった、ロマン・ポランスキーとその妻であるシャロン・テートが引っ越してきます。
2009年に公開された『イングロリアス・バスターズ』同様に、史実に大胆な変更を加えている今作、しかしだからこそラストの感動はひとしおです。
クエンティン・タランティーノがハリウッドの黄金時代の終わりに思いを馳せて作り上げたノスタルジックな作品。
様々な、過去の映画化
ミッドナイト・イン・パリ
婚約者のイネスとともにパリを訪れたギルでしたが、二人の仲はギクシャクしてばかり。ある夜、ギルは不思議な車に迎えられ、辿り着いた先はかねてから憧れていた1920年代のパリでした。やがてギルはそこで出会ったアドリアナに惹かれていくのですが、アドリアナにもまた憧れの時代があったのでした。
近年のウディ・アレンの中では際立って高い評価を得ている今作。
ギルの「人はいつだって過去に恋い焦がれるもの」という台詞には、製作当時をウディ・アレンの心境がそのまま反映されているように思います。
ザ・ウォーク
実在の大道芸人、フィリップ・プティが1974年に行った、ワールドトレードセンターの二つの塔(ツインタワー)の間を命綱なしで綱渡りした実話を映画化しています。
9.11のテロで倒壊したツインタワーですが、主演のジョゼフ・ゴードン=レヴィットはその跡地で実際に二つの塔の感覚を確かめ、リサーチしたという逸話があります。
今作の魅力はなんといってもテンポの良さとヒューマンドラマとエンターテインメントの絶妙な融合にあるのではないでしょうか。
公開当時映画館で鑑賞しましたがら最初から最後まで全く飽きることなく、のめり込んで観てしまいました。
特にクライマックスの綱渡りのシーンはCGだとわかっていてもその荘厳かつダイナミックな演出には脱帽しました。
本当におすすめの楽しめる映画です。
ゴジラ GODZILLA
1998年に公開されたローランド・エメリッヒ監督の『GODZILLA』以来二度目のハリウッド製作のゴジラになります。
エメリッヒ版の『GODZILLA』は批評的には厳しい声も多く成功したとは言えない作品でしたが、ギャレス・エドワーズ版の『ゴジラ GODZILLA』はモンスターとしてだけではなく、人々から敬意と畏怖される存在としてのゴジラ像をしっかりと表現しており、2014年に公開された映画の中でも最も優れた成績を残した作品の一つになりました。
やはりその成功の要因としてはギャレス・エドワーズ自身がゴジラとは何かをしっかり理解してくれていたのが大きかったのだと思います。
ラ・ラ・ランド
『ラ・ラ・ランド』は2016年に公開されたデイミアン・チャゼル監督、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン主演のミュージカル映画です。オープニングの圧巻のミュージカルシーンから一気に作品に引き込まれてしまいます。ロサンゼルスを舞台に、夢を追いかける男女の恋愛を描いた今作。
『ムーンライト』とともにアカデミー賞作品賞を争った実力派の作品でもあります。
クリード チャンプを継ぐ者
シルヴェスター・スタローン主演の人気作『ロッキー』シリーズのスピンオフとなった本作では、ロッキーのライバルであったアポロ・クリードの息子が主人公となります。
アポロと愛人の私生児として生まれたアドニス・クリードはアポロの死後、孤児院で育てられました。
その後アドニスはアポロの正妻であるメリーアンに育てられ、不自由ない暮らしを送っていましたが、心の底ではボクサーとして成功したいという夢がありました。
プロボクサーへの道を決意したアドニスは父のライバルにして親友でもあったロッキーの元を訪ねます。
『ロッキー』の精神を見事に引き継いだ今作。これまでに2本の続編が作られ、映画としての実力も申し分ないことを十分に証明した作品になりました。
君の名は。
『君の名は。』は2016年に公開された新海誠監督のアニメ映画です。声の出演は上白石萌音、神木隆之介らが務めています。新海誠の名前を一躍日本中に轟かせた大ヒット作品。ラブコメの要素もありつつ、かつ東日本大震災という歴史的な事件を楔のように作品に刻み込み、その時代を象徴するような作品となりました。
シン・ゴジラ
『シン・ゴジラ』は2016年に公開された樋口真嗣監督、庵野秀明総監督、長谷川博己主演の怪獣映画です。『君の名は。』同様にそこで描かれていたのは震災のメタファーとしてのゴジラだったのですが、本作が際立っているのは非常にドメスティックな作品だということ。日本ならではの会議であったり、官僚組織、政策の意思決定などの流れが細かく描かれ、もはや政治ドラマ作品と呼んでもいいほどではないでしょうか。
『GODZILLA ゴジラ』からの挑発として日本が出した答えは「日本人にしか作れないゴジラ映画」だったのではないかと思います。